秘密の検診 ページ21
◇
___ガチャ
蝶屋敷についてから胡蝶はすぐに竈門の元に向かい、僕は蝶屋敷の最奥にある診察室に向かった。
約一年ぶりに来るが診察室は、相変わらず綺麗に整理整頓されていた。
塵一つない清潔な空間だ
おっと文字板…出しとかないとな。
立ち入り禁止の文字板を、扉の外の出っ張りに引っ掛ける。
『ふぅ……』
部屋の洋製の木の椅子に座ると、やっと強ばった体の力が抜けて一息つくことができた。
御館様を前にすると粗相をしないか不安で仕方ない…
全神経を張り巡らせていたせいか非常に疲れる。
それに今日は命の掛け合いや衝撃的な事ばかり
柱と同じ空間にいる緊張感…
特に義勇殿と久々に会えたし、少しだけだが喋れた。
とても嬉しい…鬼を狩り続けていた毎日だったからか、こういう喜びを忘れていた気がする。
それにこんなに喋ったのは久々で頬が痛い
___ガチャ
再び扉が開く音がした
「遅くなりました、すみません」
『大丈夫だ』
はぁ…と溜息を胡蝶が吐くと、眉に皺を寄せて軽く睨んできた。
「なんの為にこの最奥の診察室使ってると思ってるんです?
身体の力を抜いてください、A…」
『ごめん、しのぶ…』
「それでいいです!
まず心音を聴きますので、ぐるぐる巻きのサラシ取りますよ!!」
『わかったからっ』
「ほら、パッパッとする!!」
そう言って無理やり起立させ、服を剥ぎ取り始めるしのぶ。
『わっ!』
胡蝶…もとい、しのぶは僕が女という事を知っている数少ない人だ。
まず女と知っているのは御館様一家としのぶだけだけど…
彼女と僕は似ている境遇からか、とても意気投合してそれからはずっと仲が良い。
家族未満親友以上というような関係に収まっている。外ではボロを出さないようお互い適切な距離でいるが、この診察時間にだけ親友に戻るんだ。
「本当に…こんなキツく巻いたら形悪くなっちゃいますよ!
折角、大きくてハリもツヤもあるのに!!!
勿体無いです!!」
『僕は男だからいらないんだよ!
どうにかして取る方法ないの??』
「A、そんなこと言ったら一部の乙女達に殺されちゃいますよーー??」
『笑えない…』
「外では言わない事ですね」
『言う事ないけどね』
「はいはい…
心音は正常ですね、」
『そっか』
「それにしても…前にあった時より髪白くなってますよ。」
「……」
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渦(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます!コメント返信遅くなってしまって申し訳ないです!!これからも頑張って更新させていただきますね! (2021年9月15日 21時) (レス) id: d1870f2c27 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年9月9日 21時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渦 | 作成日時:2021年1月6日 1時