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「何をするにも原点を常に意識しとけ」
合宿3日目、相澤先生の言葉だ。原点……原点ね。私の場合はこの世界でまず学生のうちにオール･フォー･ワンを倒すことが目的なわけだから、難しいな。でも原点は、そうだな……世界を救う為にこんな馬鹿みたいに繰り返してるんだよね。どうして世界を救いたいのかといえば、私はただ、あの日のその先を生きたいだけだから。
結局、自分本位なわけで。そんな大義名分とか存在しない分、皆と比べると少し居づらいような、後ろめたいような気分になる。悶々とした何かを抱えたまま、訓練は終わり、夕食準備の時間がやってきた。
「Aって肝試しとか平気そうだよね」
「え？ ああ、うーん、緊張はするかな」
「意外だー」
「大丈夫そうなのに」
君らは私を何だと思ってるんだ。なんて笑って流しながらまな板があるテーブルに向かう。爆豪が既に野菜を切ろうとしていた。そういえば彼、包丁使うの上手いんだったね。
「見てんじゃねぇよ気が散るわクソ」
「大したものだと見直してたのに」
「てめェに見直される筋合いなんざ無えんだよ」
「それもまあ、そうだね」
「わかったらさっさと手ぇ動かせや」
もっともなことを言われてしまったので、肩を竦めて人2,3人分程離れて横に並んだ。まな板に包丁が軽く打ち付けられる音が重なり、それは奇妙な旋律のようにも感じられた。
「そういえば、爆豪は肝試しとか平気なタイプ？」
「くだらねぇだろあんなん」
「貴重な青春のイベントなのに」
「いきなり何抜かしてんだ」
「いやね？ 刺激が少ない人ってボケやすいって聞いたから」
「喧嘩売ってんのか！？」
「ごめんて」
適当に謝っても、腑に落ちない表情のまま野菜に向かう爆豪はなんだかんだ真面目だと思う。
出来ることなら今すぐどこか遠くへ逃げてほしいものだ。そうさせられないのを本当に悔しく思うし、不甲斐ない。全てが終わって過ごせるのなら私は真っ先に彼に謝らなければならないだろう。
「なあ、あの2人職人じゃね……？」
「ああ、いきなり黙ったと思ったら凄え量のじゃが芋と人参を切り始めたな」
切島君と上鳴君がひそひそとそんなことを話していたのが聞こえた。
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ぱ - とても素敵な作品でした。ありがとうございます。 (2022年9月16日 2時) (
レス) @page45 id: 6da9fb2143 (このIDを非表示/違反報告)
むーとろとん(プロフ) - とっても作り込まれた作品だなと感じました。なんでこんなに引き込まれるんだろうと考えてみたのですが、言葉を表すのに迷ってしまい…なのでもう一度ある程度頭の働く大人になってから読ませて頂こうと思います。本当に素敵な小説を書いて頂きありがとうございました。 (2022年8月24日 7時) (レス) id: bd653a9204 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました、出会わせてくれてありがとうございます。 (2021年8月17日 5時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
赤の黒犬 - 個性も見た事無いものな上、それを上手く回るヒロアカの世界、表現の1つ1つが綺麗だし、行動原理や性格まで納得出来るものでした。作者様が相当頭が良いのか、文章の作りも丁寧でしたし。夢主のキャラも好きです。良い作品をありがとうございました。 (2021年8月11日 20時) (レス) id: 514ce3668f (このIDを非表示/違反報告)
キュートでふつくしい雑草(プロフ) - 最後にこれだけ言わせてください。文法うんこですみません。長文失礼しました、この作品を残してくれてありがとうございます。 (2021年4月22日 15時) (レス) id: cef41b24b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月30日 16時
