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「今日提出ですけれど、Aは体験先を決めました？」
オファー一覧表が渡されてから2日後、朝私が席に着くなり百が質問してきた。
実はまだ決まっていない。いくつかに絞るのはその日のうちに終えたが、最後の2つで決めかねているのだった。
その旨を伝えると百はじっくり悩むべきだと言ってくれた。そう言ってもらえると心が楽である。
私が悩んでいる2つの事務所……それはベストジーニストとエンデヴァーの事務所だった。
今までの世界と正しければ、今回の職場体験期間中……恐らく3日目くらいにヒーロー殺しが捕まる。そして不幸にも、職場体験中の雄英生徒とプロヒーローの2名が重体で入院するはずだ。生徒の名前が公表されたことは無いので、誰が巻き込まれるかなんてわからないが、恐らくは飯田君だろう。
彼は保須のヒーロー事務所を選んだと聞いた。もっと上の事務所から指名があったのにも関わらずだ。これは憶測にすぎないが、
話を戻そう。私が悩んでいる理由。それは、その事件に関与するか否かである。
ヒーロー殺しを捕えるのはエンデヴァー。彼は保須にヒーロー殺しが出現すると踏み、パトロールの為に出張するはずだ。それについて行くことが出来れば、事件へ関与して犠牲を減らすことが出来るかもしれない。
一方ベストジーニストは事件とは無関係。私は関与せず、いつも通りの出来事となるのだろう。
これだけならば当然、前者に行った方がいい。だが、最悪の場合を想定する。私が関わらなければ未来は変わらない。そのかわり重体が2人出る。
もし下手に関わってしまい、何かを間違えて筋書きが変わり、死人が出たら……？
考えただけでゾッとした。背筋を冷や汗が伝う。
「なあ、喩語の奴何であんな切羽詰まった顔してんの」
「事務所悩んでるんじゃねーの」
「それであんな人が死んだみたいな顔するか？」
級友の声が遠くに聴こえる。動悸が抑えられない。私にとって“死”という概念は、それ程恐ろしいものだった。2000回余り繰り返しても慣れることの出来ない恐怖。それに慣れる時とは、きっと私が壊れる瞬間だろう。
数分、深呼吸を繰り返して動悸を落ち着けようと試みる。冷静に考えろ。大丈夫、“今”の個性なら……救えるはずだ。
希望体験先に書いた、やけに筆圧の弱い第1希望の欄の文字の上から、油性ボールペンで希望先をなぞった。
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りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
