2222-92 ページ45
「お風呂気持ち良かったねー」
途中で峰田君が案の定アホなことをやっていたけれども。洸汰君がナイスセーブしてくれたからまあいいんだけどさ。
「私達これから部屋でUNOやるけどAも参加するよね」
UNOか……ノート纏めたいし、喉乾いたから飲み物も欲しい。部屋の中ではやりづらいので誘いを断って、フルーツ牛乳を自販機で購入し、ノート片手に人通りの少なそうな廊下のベンチに腰を掛けた。
1日目は特に何も起こらなかった。緑谷も変わったことはしていないと推測すると、概ねいつもの通りかな？ とりあえず場所と時間くらいはメモしておこうか。そう思って時計を探したが、周りには見当たらない。エントランスに行けばあるだろう、と立ち上がって歩き、曲がり角に差し掛かった時だった。
「お」
「と……どろきくんだ」
轟君と鉢合わせてぶつかりそうになった。
「こんなところで何してんだ」
それはこっちのセリフだ、と一瞬思ったが、ここが男子の部屋へ近いということを思い出して納得した。「静かな場所を求めに来た」とでも答えておこう。別に嘘ではない。
「俺もそんなところだ」
そうなんだーとしか言いようがない。やっぱり彼のテンポはどこかやりづらいのだ。なまじ体育祭以降口数が増えたから余計に。いや？ 人としては良い傾向だけどね。
「そういやお前、どうやったんだ」
「どう、とは」
そして少し言葉が足りない。爆豪といい強い人はこんな感じなんだろうか。常闇君や飯田君の方が意思の疎通が図りやすい。
「宿泊施設まで行く時、どうやったんだ？」
あ、うんそれね。
「親父に聞いたが、お前保須でも消えたんだってな、目の前から突然」
エンデヴァー余計なことを……このタイミングでこんな面倒臭い質問をされるなんて誰が予想したよ。学生なんて、大人しく部屋でトランプでもやっていればいいものを。
「ワープじみたことも出来るのか？」
「偶々、ね」
ひんやりとした風が流れ、部屋着では肌寒く感じた。風に乗ってフルーツ牛乳の甘い香りが漂い、話の終わらせ方をなんとなく頭に描いた。
「せっかくの林間合宿だし、轟君も普段出来ないようなことした方が楽しいと思うよ。例えば風呂上がりにフルーツ牛乳を飲んだりとか」
「……そうか」
え、自分で言っておいてなんだけどこれでいいの轟君。それとも実は風呂上がりのフルーツ牛乳に憧れてたの？
「案内してもらえるか」
思いの外ノッてくれて驚きを隠せない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
