2222-85 ページ38
今日なんかショッピングモールに敵が出て捕まってないのに、女の子をこの時間に1人で歩かせるなんてとんでもない！
爆豪母の主張はこうだった。そして私も断りきれず、爆豪はなんだかんだ母の言うことを聞くタイプらしいのか本当に渋々送ってくれている。
正直、会話が無いのでやりづらい。
「爆豪寒くないの？」
無言を貫くのもなんだからとりあえず他愛もない会話を試みる。だって彼タンクトップに半ズボンなんだもの。7月とはいえ夜はそれなりに涼しいのに。
「喋んな」
……これだよ！ 反抗期の男子ってのはこれだから困る。そりゃ迷惑掛けたから機嫌は悪いだろうけど。そもそもこの人に機嫌がいい時なんてあるのかと問いたい。
「えっと……ここまででいいよ？」
この曲がり角からは真っ直ぐだし、問題も無いだろう。何も嫌がる人を無理矢理付き合わせることは無い。
「うっせ黙れ」
泣きそう。轟君ですらあそこまで丸くなったのに何故爆豪はこんなにトゲトゲハートのままなのか。そう思うと切島君って凄いね。
街頭を1本2本と通り過ぎていく。夜風が頬を撫でて、夏の夜を感じさせた。
「じゃあ私の家ここだから」
「おーさっさと入れ」
「うん、じゃあね。今日はありがとう」
と言っては見たものの、一向に爆豪が動かない。うん？ 何か言い忘れたことあったっけな。
「あと、お母様によろしくお願いします」
まだ動かない。えーと、他は……
「さっさと家ん中入れっつってんだろ！」
「あ、ハイ、ごめんなさい」
家の中に入るまで見てくれているつもりだったらしい。母親に言われたんだろうけれど、そういうところは律儀だなぁ。
家に入って扉の鍵を閉める。足音が聞こえたタイミングを見るに、鍵を閉めるまで待っていてくれたみたいだ。完璧主義故の行為だろうか。送るなら徹底的に……みたいな。
家に上がると案の定真っ暗で、人の気配なんか無くて。嫌でも爆豪家の温かな雰囲気と比べてしまう。林間合宿前の通話で今日のことが話せるといいけれど。
そんなことを考えながら風呂に入り、ベッドに潜った。
そういえば爆豪のベッド、硬かったな。本人の好みだろうが。確かに低反発よりは高反発が好きそうだし。案外家が近いことにも驚いたけど、今まで登下校で会わなかったからなぁ。
「お礼、どうしよ……」
ひとまず親に相談して、それで……と考えているうちにうつらうつらと眠りに落ちた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1284人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヒロアカ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
