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轟君が来たのだと気付くまでコンマ数秒……予想より早かったな。
何かを話しているが残念ながら全ては聞き取れない。恐らくは緑谷に何か説明してるのかな。その間に轟君は緑谷とプロヒーローを自分の近くへ上手く引き寄せた。氷と炎をそう使うか……やるな。
何度かエンデヴァーに練習させられていたから多少は使えるのか、左も。
これで形勢は少しマシになった。と思いたいけれど、この狭い路地裏での轟君の個性。特に氷壁は視界を遮るからステイン相手には戦いにくそう。
今だって頭上を取られてしまった。助けに入るなら今だ。そう思ったが、倒れていた緑谷がいないことに気付く。
気付いた時にはもう、緑谷は壁を跳んでステインを掴んでいて。すぐに振り払われてたけれど、十分動けていた。
ステインの個性は時間制限付きだったのか。これで2対1。体育祭と比べて確実に動きが良くなった緑谷と、後方支援に適した轟君。プロが着くまで持ち堪えられるかは五分五分だ。今までの世界では飯田君とプロヒーローが殺されてしまう前に何とか助かっているから、大丈夫だとは思うけれど。
……ステインの動きが数分前とは全然違う。何というか、本気の殺気というか。轟君の炎も氷も上手く躱されている。
轟君に刃が届いてしまうと思った瞬間、飯田君の蹴りが炸裂した。飯田君も動けるようになったのか。かと思いきや轟君庇って刺されたり、大きなナイフで腕刺されたりしているし。
不謹慎なのは百も承知なんだけど、まるで映画を観ているようだった。力になりたいとは思うけれど、ただその状況から目が離せなくて、夢中で。水を差すって言ったら変だろうけど、私が行っちゃいけないような。そんな予感がする。
ボンヤリとそんなことを考えていたら、その次の瞬間にはステインが緑谷から拳を、飯田君から蹴りを入れられていて。終いには轟君の炎を食らっていた。
氷の山に体を曲げて、洗濯物のように引っ掛かっているステインが動くことはなかった。
……本当に倒しちゃったよ。この人達。
そうなることを期待してはいたし、だからこそ迂闊に手を出せなくもあった。だけどいざその瞬間を見てしまうと、どうにも言い表せない感情がこみ上げるのだった。
そしてやはり、そんな瞬間には緑谷の存在があるのだ。プロヒーローに背負われる彼の背中に、何かを見た気がした。
それは一旦置いといて。……どうやって出ていこう。
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りっぴい(プロフ) - 作品全部読ませて頂きました！質問なのですが、この作品のように字や背景を変えるようにするにはどうすればいいのでしょうか。 (2018年4月7日 0時) (
レス) id: 72a6f55e69 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 冷やしチョコさん» 個性が好評のようで嬉しく思います。文才は……大変恐縮です。更新頑張ります！ (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - ログインしたくない病さん» 評価だけでなくコメントまでしていただけて私はとても嬉しいです。ありがとうございます。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 牙夢さん» 今回は更新じゃなくて申し訳ありません。続編もお楽しみいただけるように努めたいと思います。 (2017年8月29日 9時) (レス) id: b2aca56a6e (このIDを非表示/違反報告)
冷やしチョコ - 文才があるってこういう事なんだな…としみじみ思います。個性のアイディアが面白いし、何より小説の内容が面白いです。更新楽しみに待ってます！ (2017年8月29日 0時) (レス) id: 691aea1734 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月13日 3時
