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結果から言うと、緑谷は負けた。
当然だ。勝てるかどうかすら怪しい状況で、轟君が炎を使ったのだ。いくら緑谷が規格外のパワーを持っていようが既にボロボロだったのだから、勝つのは難しかっただろう。
轟君は氷結でのデメリットを、炎を使うことで解消出来るらしい。それ相手にあの怪我で勝つのが無理な話だ。
……重要なのは勝ち負けじゃない。あの轟焦凍が試合中に炎を使った。そんなことは今まで絶対に無かった。勿論緑谷が勝ったら勝ったで、それでも驚いていたのだろうが。
彼は、人を変えた。ずっと変わらなかった轟焦凍のスタンスを、あのたった1試合の中で。
それは、2000回余りの世界での轟焦凍という人物の決まりだったのに。
緑谷は今、リカバリーガールの元で治療されているのだろう。なにせあの怪我だ。すぐに話すことは出来ない。何とか今日中に会えたらいいんだけど。
「っ……」
また体が怠くなってきた。そうか、そろそろ時間切れか。リカバリーガールのところに戻ろう。
この先の試合展開は、対戦メンバーが変わっていないからおおよそいつも通りだろう。
観客席から移動し、コンクリートの建物内へ入る。関係者以外立入禁止のお陰で人がおらず、いくらか気が休まる。
少し呼吸を整えよう。
壁に全体重を預けると、背中から全身へコンクリートの冷たさが伝わって心地よかった。
「……喩語？」
目を閉じてその心地よさに身を委ねていると、名前を呼ばれて現実へ引き戻された。
「轟君だ」
どうして彼がここに。とは思ったが、これから試合のスパンが短くなっていくことを考慮すれば、入場口に近いここにいることは別におかしくも何ともない。向こうからしてみれば、どうして私がこんなところにいるのだという話だ。
「何、してんだこんなとこで」
「何も」と答える。
「それより炎、出せたんだね。おめでとう」
フイと顔を背けられる。炎に関して触れられるの、そんなに嫌なんだ。それを緑谷は……そうだ。
「試合まで時間ある？」
「……多少は」
「じゃあさ」
緑谷について、教えてくれないかな。
突っ込まれて答えたくない程の個性を引き出した、彼の話を。戦った君なら何か別の感じ方があったんじゃないかな。
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nasamakuo48(プロフ) - はじめまして。とても面白い作品で一気に読んでしまいました。こんな感じで感想等を投稿するのが始めてなので、ど書けば良いのかわからず申し訳ありません。これからも、無理のないペースで新しい作品やストーリーの続きを拝見させていただくのを楽しみにしています。 (2017年9月27日 18時) (
レス) id: 6cec3e37ea (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 紫原 舞雪 @ペアネ中 兎化さん» コメントありがとうございます。フォントは、春夏秋冬PBBをTAKAYA様よりお借りしております。 (2017年8月11日 18時) (レス) id: aa9f0c2ea2 (このIDを非表示/違反報告)
紫原 舞雪 @ペアネ中 兎化(プロフ) - とても面白くて素敵な作品ですね！これからも投稿頑張って下さい！ 質問なんですが、この作品の文字のフォントは何を使っているんですか？教えて頂けると幸いです。 (2017年8月11日 13時) (レス) id: 4dbed81eb1 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞稀さん» 個性の描写が表現できているようで嬉しいです。ありがとうございます！ (2017年8月6日 18時) (レス) id: 8c5fbde7f2 (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - かさかさスライムさん» ありがとうございます……恐れ多いです……！頑張りますね。 (2017年8月6日 18時) (レス) id: 8c5fbde7f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年7月31日 1時
