【鬼滅の刃】君がため《短編集》

時透無一郎『押してダメなら』 ページ5

時透無一郎『押してダメなら』時透side




貴「時透君！！好きです！！！」



時透「えっと…誰だっけ…」



貴「時透君超可愛い！！！結婚しよう！！！」



時透「…あの雲なんて名前だっけ。」



会う度に僕に好きだの可愛いだの言ってくるこの人。



Aの事は何故だか毎回はっきりと覚えていた。




そしてある日のこと、

今日はAと宇髄さんと三人での任務だった。




貴「久しぶり、時透君。さぁ早く任務終わらせようか。」



と短く挨拶を終えたAは宇髄さんを見て



貴「う、宇髄さん！私頑張ります！！」



宇髄「おう！今日も派手に行こうぜ！」


なんて2人で親指を立てて笑いあっていた。



あれ？2人ってこんなに仲良かったっけ？



それに、Aの僕に対する態度が、なんだか少し素っ気なく感じた。



それは任務が終わっても同じだった。



あれ？僕はAに何か少し期待してたの？


いつもうざいくらいに引っ付いていたから？



それにまた宇髄さんと仲良さげに話している…。


頭なんて撫でられてさ…。



…なんだろうこの気持ち…。



何処か遠くに行っちゃいそうで思わずAの腰に抱きついた。



時透「行かないで。」



貴「へ？ととと、時透君？！！」



顔を赤くするAに少しだけ安心する



時透「なんで今日はいつもと違うの？僕、なにかした？

それとも…嫌いになっちゃった？宇髄さんの方が…」



そうだ。この気持ち…僕は宇髄さんに嫉妬。してるんだ。



時透「Aが…。好き…。」



するとそっと抱き締め返してくる君。



貴「え？本当？？凄く嬉しい！！私も時透君のことずっと好きだったの！！」



知ってる。ずっと聞いてきたから。でも。



時透「じゃあ何で今日は…。」


そうすると赤い顔を逸らして呟く


貴「だ、だって。時透君、いつも冷たいし…。だから宇髄さんが教えてくれたの。『押してダメなら引いてみろ』って。」



その言葉で全ての謎が解けた。



時透「すごく寂しかった…。」



貴「ごめん…」時透「だから…」


Chu…


彼女の頬に唇が触れる。


時透「今はこれで許してあげる…」


目を見開いて赤面するAは、いつもより可愛かった。

甘露寺蜜璃『来世でも』→←胡蝶しのぶ『どんな貴方も』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す