【鬼滅の刃】君がため《短編集》

時透無一郎『優しさのその中に』3 ページ22

暫くして、任務で遠方へ出ていた時のこと、



緊急の知らせを聞き、家に帰ってきた。



そこは血の海ができていた。



隠達から遺体の確認をさせられる。



部屋に入ると、旦那とその両親と、息子の遺体があった。



鬼に襲われたそうで、その光景は酷いものだった…



いくら死体を見るのを慣れているとしても…



私は気分が悪くなって外に出た…。




貴「…ｯごめんなさい。守れなかった…。」




例え愛がなくても、共に暮らした家族が死ぬのは辛かった。



何より、かけがえの無い息子まで失った。



貴「こんな力あったって結局…大切な人は…誰も守れないじゃない…！！！」



拳を地面にぶつける…。



痛い…。だけど皆の方がもっと痛かったよね…。



地面を殴る手を止めない…



手から血が出て、感覚もなくなった…だけどそれでも…



後から誰かに抱きしめられ、その手をそっと包み込まれる。




貴「時透君…。」




時透「Aのせいじゃない…。」




その言葉にまた涙が溢れ出てくる…。



私は無意識に時透君にすがり付いた。



そんな私を優しく抱きしめ、背中をさすってくれる。




時透「大丈夫…大丈夫。」



子供をあやすかのように囁くその声も…



今は心地よく感じた。

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