◆4 ≪0209.NEW≫ ページ5
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いつからそこにいたのか。
いつからそこにあったのか。
そんなことはもう、どうでもいい。
その箱は、ただそこに。
自分の中に『何か』大切なものが入れられているのだという事、それを守る役目が自分にあるという事だけは理解していた。
何もないその空間は、良い言い方をすれば「見晴らしが良く」、正直な言い方をすれば「それ以外に何もない」のだ。
箱は『何か』さえ守れればそれでいい。
空間の奥の方に見える黒いもやもやが己を狙っていることが分かっていても、黒いもやもやの幾つかが無理矢理箱を抉じ開けようと手を伸ばしてきても。
どれだけ傷付こうが、どれだけボロボロになろうが、『何か』さえ守れればそれでいいのだ。
でも、いつからか。
その箱の横に佇む青年がいた。
いつからか、は定かではない。
最初は時折見かける程度だった。
遠巻きに眺めては去っていく。
それを繰り返していたのに。
少しずつ箱の横に佇む時間が長くなっていき。
少しずつ傷が増えていく箱を眺めては目を潤ませ小さなため息をつき。
そうして、青年は。
箱の前に立つようになった。
大きな瞳は虚ろで何を見ているのかも分からない位に鈍く、ふくよかな唇は薄く開き何か言いたげな様子なのに言葉を発することも無く。
ただただ、ひたすらに。
ただただ、立ち尽くし。
その箱を、見つめている。
どれ位の時間を要したのか。
その青年は。
箱を背にし黒いもやもやと対峙するようになった。
箱は、ただ。
彼を見つめる事しかできない。
今まで気付けなかった彼の背中に刻まれたいくつもの傷を見ても、癒してあげる事すらできない。
彼が『何か』を守る箱ごと、黒いもやもやから守ろうとしていることが伝わってきても、君が傷付くことはないんだと、声をかける事すらできない。
ある時、大きな黒いもやもやが彼と箱に襲い掛かってきた。
黒いもやもやを全身で受け止め跳ね返した彼は、振り返って箱を見た。
箱が無事だったと視認した彼は、ふふっと小さな笑みを見せた。
満身創痍になった彼は、箱に手を伸ばし、そっと柔らかく抱きしめ。
今の今まで堪えていた涙を一粒、箱に降らせて呟いた。
「……俺、守るからね」
そっと唇を寄せられた箱が彼を見上げると、そこには彼の姿は無く。
赤い瞳をギラギラと輝かせた
黒く大きい一頭の番犬が、そこにいた。
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あっちゃん(プロフ) - 黒衣さん。mioちゃん。たくさんポチしたい！いいね？ずーっと押していたいよ。 (2019年7月8日 11時) (
レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうです^^ お読み頂けて嬉しいです。私もmioさんと同じくイイコじゃないので、言霊を信じて思いの丈を言葉に乗せたいと頑張ってます。沢山もらった元気と勇気と幸せ、少しでも私達から彼らに返したいですね。彼らの笑顔は私達の原動力だし！(笑) (2019年4月27日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます。彼らの優しさに温かさに胸一杯になり涙しました。私も強くあらねばと思いました。沢山沢山、元気と勇気と幸せをもらったから、そんな彼らを応援したいと思います。やっぱり好きな人には笑顔でいてほしいから。 (2019年4月16日 10時) (レス) id: b39ec88e32 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうです^^ レス遅くなりまして(汗) 楽しんで頂けたようで嬉しいです、ありがとう…って仕事中かい！(笑) でも、何度も読んで頂けたのとても嬉しいです！でも良い子は真似しないように！(笑) これからも楽しんで頂けるように頑張りますね！ (2019年3月30日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» コメントありがとうです^^ レス遅くなりました(汗) 少し落ち着いたのですね^^ 緩む事も大事ですよね、爆発する前に。そして後悔しないようにしたい人発見！(笑) 反省はいくらでもして良いと思うんです、後悔したって取り戻せないし。そしてシンパシー！(笑) (2019年3月30日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みおくろえ
x他1人 | 作成日時：2019年2月7日 23時
