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彼らの背中を見送り、周りに誰もいなくなった時。
箱が必ず思い出す光景があります。
それは……
「んふふ、でけた」
箱として生み出された瞬間の記憶。
大きい寝癖が頭からはみ出し、ふにゃふにゃと柔らかい微笑みを浮かべた青年が、箱を両手に持って嬉しそうにしている光景。
箱は、生み出された瞬間から、自分が何を守り、その身に何を閉じ込めるのか理解していました。
それは、きっと……
「おれが宝物って言ったからかな」
閉じ込めたいとかロマンチストだよね乙女かよと、目の前の青年は微笑みます。
ごろりと横になりつんつんと指先で触れる青年は、困ってるような辛そうな顔をして、それでも微笑みます。
箱の方を向くときは殆どが微笑みを浮かべていて、すっと視線を逸らすと真剣な表情に変わります。
その視線の先を辿ると、黒く小さいもやもやが動いているのが見て取れました。
「やっぱそうだよなぁ」
よいしょと体を起こすと、あぐらをかいて、その黒いもやもやをぼーっと眺めます。
箱は、初めて気付きました。
青年の体……背中に、たくさんの傷が刻まれていることに。
こんなにたくさん傷付いているのに、あんなに柔らかい微笑みを見せていたのかと、箱は驚きました。
「ねぇ、頼むね？」
ちらっと箱を見た青年は、いつものあの柔らかい微笑み。
ぽんぽんと撫でるように箱を叩くと、ふにゃっと表情を崩します。
「あいつが……あいつらが来るまでさ、来てからもだけどさ？」
彼は箱の輪郭を撫でる。
それはそれは、大切そうに。
「よろしくね？」
そうしてまた、黒いもやもやに視線を戻す彼の輪郭は、まるで子どものようにまあるいものなのに。
その姿にどこか安心感を覚えるのはどうしてなのか、箱はその時は分かっていませんでした。
「……ないしょ、だよ？」
そう呟いた彼の向こう側、一人の青年の姿を見つけます。
力なく立ち尽くしていた彼は、箱とその傍であぐらをかく人を見つけると。
ただでさえ大きな目をさらに見開き、一歩また一歩と、こちらに近付いてきます。
その一歩が少しずつ早く、駆け出すまでになるのに、時間はかかりませんでした。
「じゃあ、ね？」
箱の横であぐらをかいていた青年は、そう呟くと立ち上がり、駆けてくる彼の方に歩み始めました。
そんな彼の背中を眺めながら……
どうして寂しいんだろう。
箱は、そう思いました。
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あっちゃん(プロフ) - 黒衣さん。mioちゃん。たくさんポチしたい！いいね？ずーっと押していたいよ。 (2019年7月8日 11時) (
レス) id: cd7b6e55f7 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - さゆさん» コメントありがとうです^^ お読み頂けて嬉しいです。私もmioさんと同じくイイコじゃないので、言霊を信じて思いの丈を言葉に乗せたいと頑張ってます。沢山もらった元気と勇気と幸せ、少しでも私達から彼らに返したいですね。彼らの笑顔は私達の原動力だし！(笑) (2019年4月27日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございます。彼らの優しさに温かさに胸一杯になり涙しました。私も強くあらねばと思いました。沢山沢山、元気と勇気と幸せをもらったから、そんな彼らを応援したいと思います。やっぱり好きな人には笑顔でいてほしいから。 (2019年4月16日 10時) (レス) id: b39ec88e32 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ★mmiioo★さん» コメントありがとうです^^ レス遅くなりまして(汗) 楽しんで頂けたようで嬉しいです、ありがとう…って仕事中かい！(笑) でも、何度も読んで頂けたのとても嬉しいです！でも良い子は真似しないように！(笑) これからも楽しんで頂けるように頑張りますね！ (2019年3月30日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - のりさん» コメントありがとうです^^ レス遅くなりました(汗) 少し落ち着いたのですね^^ 緩む事も大事ですよね、爆発する前に。そして後悔しないようにしたい人発見！(笑) 反省はいくらでもして良いと思うんです、後悔したって取り戻せないし。そしてシンパシー！(笑) (2019年3月30日 23時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みおくろえ
x他1人 | 作成日時：2019年2月7日 23時
