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38.ほら、似合わない ページ39

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『A、二次会行く?』

「いや、もう帰るよ」

『どうせ彼氏が待ってるんでしょ!』

『幸せなやつは早く帰れ〜〜!』

『じゃあまたすぐ会おうね!』


「うん、またね」




友達に別れを告げ、歩きながら純喜くんに今から帰るよと連絡をするとすぐに了解のスタンプが返ってきた。


普段はそこまで返信が早い方ではないのにこんなに返事な早いってことは、ずっと連絡を待っていてくれたのかなあ。
 




色んな人に瑠姫と別れた話を聞かれて、適当に話と一緒にお酒を流し込んでいたからちょっと酔っ払ったみたい。

足元がいつもよりふわふわと浮かぶ。






前をちゃんと見ていなかったせいで赤信号で止まった前の人にぶつかりそうになった瞬間に、

「危ない」と後ろから腕を引かれてギリギリで踏みとどまり、感謝を伝えようと顔を見上げれば、


それはこの世で一番会いたくなかった人だった。





「A、ちゃんと前向いて歩きなよ」

「…あ、ありがとう」

「二次会行かないの?」

「うん、瑠姫は?」

「俺も帰るよ」

「へえ、じゃあね」

「…」



「……帰らないの?」





浮いていた足元が沈むように酔いが覚めていく。瑠姫はじっと私を下ろしたまま何かを言いたそうに口を噤んでしまった。


明るい髪色は最後に会った日と同じままで、着ているダウンは何度も見た覚えがあるし、真っ直ぐに私を見下ろす目も何も変わっていないから嫌になる。

うるさい街の雰囲気が私の心を逆撫でしていくようで、怒りたくもないのに少しだけ苛立ちが募る。




「あのさ、ちょっとだけ話せない?」

「…いや、あ、でも帰らなきゃ」

「じゃあ駅まで一緒に行こう」




話せない?と聞いてきたくせに、また何も言わず口を噤む瑠姫の隣を歩く。




この人が何を話したいのか分からない。




でももだっても何を言われても全部今更の話で、何にもならない。






あんなに毎日一緒にいたのに、なによりも安心する場所だったのに、



久しぶりの瑠姫の隣は、今はこんなにも居心地が悪い。





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名無し96612号(プロフ) - コメント失礼します!いつもふふさんの作品大好きで密かに読まさせてもらってます!降り注ぐ幸福の下でが見たいのですが、友達申請してもよろしいでしょうか? (2023年1月31日 23時) (レス) id: 4a8c56b8ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふふ | 作成日時:2021年4月20日 16時

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