照らすために息をしている (ページ35)

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34．みずいろのこころページ35

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Aさん
来月サッカー部のOB会来ないの?マネの先輩たちみんな来るみたいやで
まだ迷ってる～
卒業以来会ってないやん😒
来てよ😒😒😒
行けたら行く🙄
詳細決まったら送っといて🙏

うーん、久しぶりに会う友達って結構緊張するから苦手だ。

それにしてもしょせちゃん、久々だな。

サッカー部の一個下で、よくマネージャーに交じって休憩のおかしパーティーに参加していた。

可愛らしい顔をしている彼はその場によく馴染んでいて、
よく先輩方から「大平ばっかり特別扱いずるいよなー」と揶揄われていた。

そのうちに参加人数が増えて全員でおかしパーティーをするようになったのは、何がきっかけだったんだっけ。

思い出そうと頭を巡らせているうちに、眼鏡をかけた純喜くんが鼻歌を歌いながらお風呂から出てきた。

「純喜くん、今度サッカー部のOB会あるみたいで、行ってもいい？」
「マネージャーの集まり？」
「ううん、選手たちもいるみたい」
「へー、ええんちゃう？ずっと会ってないんやろ？」
「うん、マネージャーはたまに集まってるけど」
「ええやん、行っておいで」
「ありがと」

友達をとても大切にしている純喜くんは私の交友関係にとやかく口を挟むことはない。

そもそも口を挟まれるほどの友達はいないんだけど。

隣から香ってくる洗いたてのシャンプーの香りは私の心をゆっくりと満たしていくように感じる。

こんなよれよれのスウェットを着て、乾かしたてのぺしゃんこの髪の毛で、なんなら眼鏡までかけているのに、

世界で一番いい男なんだから困ったもんだ。

「Aちゃん、飲み過ぎんようにな」
「分かってるよ」
「帰りは迎え行く」
「えー、恥ずかしいよ」
「恥ずかしいってなんなん」

不満そうに口を尖らせた純喜くんにぎゅうと抱きしめられてぶんぶんと横に振られる。

「冗談だよ、嬉しい」と訂正すればやっと解放されたけど、

離れた体温がなんだか少し名残惜しくて私からくっつけば、柔らかい唇が私のもとに落ちてきた。

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