25.殺意の砂糖漬け ページ26
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「景瑚、3限の空きコマ、Aちゃんのバイト先行かん?」
「え〜カフェ行くなら新作のフラペチーノ飲みたいんだけど」
「かわいい子が入ったらしいで」
「なんか急に喫茶店のコーヒーの気分になってきた」
「ほんまに調子いいな」
Aのバイト先は結構静かで本読んでる人とかがいるから、あんまりAと話してうるさくできないし、
一人で行くのもなって感じで、実は結構久しぶり。
純喜くんはAがいてもいなくても一人で行ったりもしてるみたいだけど。
Aは今日全休だから昼からバイトらしい。
てゆうかかわいい子ってどんな子なんだろう。
気になる。楽しみだな。
▽
カランコロンと音が鳴って見知らぬ男の子がいらっしゃいませと出迎える。
くりくりした目が犬に似てる。
「早速来たんだね、景瑚まで連れて」
「うん、かわいい子を見にきた」
「景瑚ひまなの?」
「暇じゃないよ!!」
「今日いないん?」
「え?いるじゃん、あの子だよ」
Aが指さしたのはさっき席まで案内してくれた男の子。
え?可愛いけど、男の子?
純喜くんもそう思ったようで二人で顔を見合わせる。
「こんにちは、豆原一成です」と丁寧に挨拶をした通称まめちゃんは俺と純喜くんを一瞬見て、
「Aさんの友達?」とAだけに聞いた。
「彼氏と幼なじみ」とヘラヘラした顔で答えるAは、純喜くんが不機嫌になっていることに気づいていない。
「へー話聞いてた感じとちょっと違いますね」
「こんにちは、Aちゃんの彼氏の河野純喜です」
「幼なじみの佐藤景瑚です」
「あ、こっちが彼氏なんすね」
「そう、イケメンでしょ」
まだヘラヘラしてる。
純喜くんがわざわざ彼氏を強調していったのにそれにも気づかない。
まめちゃんはきっとAのこと狙ってんだろうなっていうのもこの一瞬で俺も多分純喜くんも分かったはずなのに、
なんでAにはわかんないんだろうな。
Aってまじ鈍感、ばか、あほ、まぬけ。
あーあ、純喜くんが怒っても知らないぞ。
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名無し96612号(プロフ) - コメント失礼します!いつもふふさんの作品大好きで密かに読まさせてもらってます!降り注ぐ幸福の下でが見たいのですが、友達申請してもよろしいでしょうか? (2023年1月31日 23時) (レス) id: 4a8c56b8ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふふ | 作成日時:2021年4月20日 16時