14.you your me ページ14
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家に置きっぱなしだった荷物を返すために、久しぶりに瑠姫に会った。
最後に会った時からまた変わった髪色、サラサラな髪質、ありがとうと言って笑う顔、お気に入りと言っていたブランドのブーツ、Aと呼ぶ声。
少しだけ世間話をしてすぐに帰った。
別れようと言われた日から潰れるほど痛かったはずの心もあの時ほどじゃなかった。
時の流れは早い。こうやって思い出になっていくんだと思う。
▽
「最近、純喜くんに避けられてる気がする」
学内を歩いているとどこからか私を見つけて、
Aちゃんって大きく手を振って話しかけてくれるのに、
ここ最近火曜2限以外会ってない気がする。
広い学内だから会わない日が続いても不思議じゃないのに。
でもバイト先にも来ていない。
毎日のようにしていた電話もかかってこない。
「そんなことないでしょ」
目の前でスマホをいじる景瑚が私にたいして興味なさそうに視線を向ける。
カフェラテの氷が溶けてカランと軽い音がする。
「純喜くんってわたしのことどう思ってるのかな」
「何言ってんの」
「ほんと、何言ってんだろうね」
「自分が1番分かるでしょ」
道端に花が咲いているのを見ると純喜くんに連絡したくなる。
純喜くんは小さな幸せを見つけるのが上手だ。
花とか一番星とか天気がいいとか帰り道の夕日が綺麗だったとか信号待ちしなかったとか。
そんな簡単に見逃してしまうようなことを大事にしている。
些細なことに喜びを感じて毎日を生きているように思う。わかんないけど。
今日はあいにくの曇りだ。
こんな日はどんな気持ちで過ごしてるんだろうか。
「2人とも早く素直になればいいのにね」
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名無し96612号(プロフ) - コメント失礼します!いつもふふさんの作品大好きで密かに読まさせてもらってます!降り注ぐ幸福の下でが見たいのですが、友達申請してもよろしいでしょうか? (2023年1月31日 23時) (レス) id: 4a8c56b8ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふふ | 作成日時:2021年4月20日 16時