34:定位置が物足りない ページ35
伊藤歌詞太郎side
相も変わらずAちゃんは俺の膝の上に座って寄り掛かって眠る。
軽くて冷たくて死体みたいな体。
「Aちゃん、そろそろ昼休み終わるよ?」
「うぅ…眠い」
放課後はあんなに元気なのにww
Aちゃんと会ってから何かが変わった。
凄く表面上は平和で穏やかなのに何かが違う。
中から少しずつかき混ぜられてるような感じ。
「A、ほら教室行くよ?」
まふがAちゃんを優しく引っ張る。
離れていく重みに少し名残惜しさを感じながらも立ち上がる。
「また放課後会おうね…?」
そう言いながら目を擦ってまふに手を引かれながら空き教室を出る。
何だか俺だけ壁があるみたいで嫌だ。
まふは勿論そらるさんや天月君までもあんなに近い。
どうやったら近くなる…?
考えて考えて…
頭の中で最近染み付いて離れないAちゃんが弾くあの曲が流れる。
でも何かが違う。
弾き方?が何だか違う。
「…か、…う?歌詞太郎?」
「え、あ、え、?何?」
「ぼーとしてたから。どうした?」
そらるさん達が心配そうに俺をみる。
「あ、ごめん。多分寝不足で…教室戻ろっか」
2人の視線から逃げるように空き教室を出た。
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作成日時:2017年9月27日 14時