吸血鬼は音楽を好む【歌い手】 (ページ13)

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12:理性と本能ページ13

Aside
まふ君の家に着くなりまふ君が言った言葉に固まる。

「今、何て言ったの…？」
「僕の血を飲んで」
「い、嫌だよ」
「どうして？吸血鬼のご飯は血でしょ？」
「だって私達は友達でしょ？！
どうして友達を必要以上に傷付けなくちゃいけないの？！」

何で？何で何で何で何で？！
何でそんな事を言うの？！
友達でしょ？まふ君は友達でしょ？！
ごはんじゃないでしょ？！
私のご飯の為に一緒にいるわけじゃないでしょ？！

「このままじゃ死んじゃいそうで怖いから！
これしか方法が思いつかなくて…！」

まふ君が私の大きな声につられて大きい声で言う。

私のせい？私のせいでそう言うの？
私がいけないの？
私が人間じゃないから、私は人間と共生出来ないの？

「お願い、そんな事を言わないで…お願いだから…」

傷付けたくない。
傷付かないで。

「A…？」
「最初から、無理だったんだよ。
憧れたのは人間の青春なのだから…ごめんね？」

君を傷付けるくらいなら私は憧れを憧れのままにしておく。
闇に帰ろう。私には過ぎた夢だった。それだけ。

「A…！！」

私はまふ君の家を出た。