おさけははたちになってから！３

69杯目:味噌汁ふーふー ページ9

side:トミー



パソコンを開いたまま気付いたら寝ていたようで、炬燵で丸くなっていた。

目を擦って起き上がると、いいにおいがしてくる。

心地良くて気付かなかった、包丁の音にフライパンで何かが炒められる音。



「あ、起きた？もー、だめだよ炬燵で寝たら」

ト「…めっちゃいいにおいする」



眠さの残る体でふらふらとキッチンを覗きに行くと、Aが手際良く料理をしていて思わず後ろから抱き付く。

俺よりも小さな体がびくっと揺れ、つい触れてしまったことに後悔するも振り向いた表情は照れたようにはにかんでいて、その可愛さに自分の本能のままの行動グッジョブと思った。



「寝ぼけてるの？」

ト「起きたらいいにおいしてるしAいるし、夢かと思った」

「合鍵って便利だね」

ト「いつでも来てよ」

「ともくんにも予定があるし、勝手には来ないけど…これからはいっぱい遊びに来るね」

ト「予定があっても関係ないから毎日でも来て〜」

「やだよ、開けて女の子がいたりしたら怖いもん」



けらけら笑って俺の腕を掴んで緩めると、向かい合う体勢になって一度ぎゅっと抱き付く彼女。

今度は俺が照れる番だ。



ト「企画以外で女子を家にあげることないから」

「えー、じゃあ私は特別だね」



抱き締め返そうとするとするりと腕からいなくなり、料理を再開した。

髪をひとつにまとめているのも可愛い。



ト「なんか手伝うことある？」

「うーん、もうできるから大丈夫！作業してて？」

ト「ありがと、グラスとお茶だけ持ってっとくわ」

「助かります！」



寒いし炬燵で飯食おう、グラスを置いて、さっき途中だった作業の続きをする。

しばらくするとAがご飯を持ってきてくれた。



「生姜焼きとサラダとお味噌汁ね、あとお土産でケーキ買ってきたから食べよ」

ト「うまそ！」

「簡単なのでごめんね、あったかいうちに食べましょ」



パソコンを閉じて手を合わせる。

Aがエプロンとヘアゴムを外すのを待っていると、笑って食べていいよと言ってくれた。

カンタももう少しで帰ってくるとのことで、あいつの分はレンジでチンできるように別皿に盛ってラップをかけてくれている。



ト「いただきまー…んめー！何、やわらか」

「よかった、サラダも食べてね」

ト「はーい」



俺より量の少ない同じメニューのものを向かいで食べる彼女を見て、同棲したさがふつふつと湧いてくる。

味噌汁をふーふーしてるの、あまりにも可愛いな。

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