好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ46)

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『かっこつけちゃって、』

健「うるせー、」

健ちゃんは、姿勢を戻してまたボトルの確認を始めた。

『片想い中？』

健「‥‥そうだよ」

強気だった彼が、弱々しく答えた。

『その人、恋人いるの？』

健「いや、恋人は居ない」

健「好きな人はいるんだろうけど」

『、そっか‥』

人は誰だって、一度や二度くらい

忘れられない儚い恋をするんだ。

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『辛くないの、』

健「そんな感情通り越した。昔は、あの人を幸せにするのは俺しか居ないって思ってた。だけど今は、あの人を幸せにするのが俺じゃなくて、別の誰かだとしても、」

健「それであの人が幸せになるなら、良いと思ってる。そう思えるようになった。」

優しくて、強い。
私には出来っこない。

『凄いね、健ちゃん』

健「おまえも大人になったら分かるよー」

『今馬鹿にした』

健「ああ、したけど？」

ちょっとでもカッコいいって思った私が馬鹿みたい。
その後ろ姿に、イーっとしてやる。

健「そういうAは好きな人できたわけ？」

(鋭い健ちゃん、)

『‥‥恋じゃない、』

“好き”って感情じゃ、ない。

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健「自分の気持ちに嘘ついても、辛いだけだと思うけど」

『‥‥、』

健「俺は、好きって、ちゃんと自分のなかで明確にしてるから。隠そうとか忘れようとかしようと思わねえ」

『元カレがどんなに素敵な人でも？』

健「前のやつは前のやつだよ。比べてもしょうがねえだろ」

そんなの、分かってるけど。

次の言葉を切り出そうとしたのと、

来客があったのは、同時だった。

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