好き、嫌い、好き Ⅱ (ページ29)

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あれから、2週間近くが過ぎた。

一回目の雑誌の連載は、勇人だった。

想像していた以上に好評で、当初の予定より企画が延びることになった。

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「桜庭、ちょっと」

『はい、』

帰りの荷物をまとめていると、部長に声をかけられた。

「次の取材も出張で行けれそうにないから、よろしく」

『わかりました』

次の取材は、小林さんか。

仕事だとわかっていても憂鬱

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『よし、』

健ちゃんのところ行こう。
今日は卓巳さんも居るって言ってたし、

くだらない話でもして気を紛らわそう。

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健「卓巳さんの脱ボッチにかんぱーい」

健ちゃんの音頭に卓巳さんが“おいっ”、と突っ込んだ。

健「まさか卓巳さんに彼女出来ると思いませんでしたよ」

『高校の同級生なんですよね？』

卓「そうそう。この間、本当に偶然バッタリ街で会ってね、」

とうとう、彼女が10年間いなかった卓巳さんにも春が来た。

同い年で、高校時代はなんとも思っていなかった人らしい。

(ほんと、人生ってどうなるか分かんないよね)

卓「女の子とご飯食べてて初めてだったんだよね、気が休まったの」

健「へえ」

恋と結婚は、違うのだろうか。

私は今までに、好きと言う感情から

愛しい、愛してるという感情まで達したことがあるのかな。

卓「高校生の時の事なんかほとんど覚えてないけどさ、よーく考えてみたら今の彼女のこと覚えてるんだよね。運命では決まってたりして、」

ある意味これも、

“忘れられない人”

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