16話 ページ16
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神様、今日は私の命日ですか。
あの後、うだうだ言わんと大人しく待っとれ、と何故か怒られ、現在下足ロッカーの前で先輩を待っているのだ。
夏休み、下足ロッカーの前で先輩を待つシチュエーション。夢にまで見たそれは実際体験すると緊張しすぎてまるで生きた心地がしない。
無限に上がり続ける心拍数を落ち着けるため、深呼吸の末に下足の生臭い臭いで頭をなんとか正気に保つ。
「お、ちゃんと待っとったんやな」
「ひぃ！？」
下足の臭いの甲斐も虚しく、階段を降りてきた先輩の一声で心拍数はメーターを一気に振り切った。
「ほら、はよ行くで」
靴を履き替えてこちらを振り返る先輩に、いよいよ腹を括る。今日は私の命日だ。
運動部が忙しなく動き回っているグラウンドを横切って校門を出る。夏休みなだけありこの時間この道を歩いている人はいないけれど、それが余計に二人きりを意識させて口から心臓が出そう。むしろバクバクうるさいので取り出して遠くへ放り投げたい。
「せや、家どの辺なん？」
「えーと、それがめちゃくちゃ近くてですね…」
学校の最寄り駅よりも近い我が家。寝坊してもなんのその。まだしたことないけれど。
「あ、せやったんか。電車乗るって言われんくてよかったわ」
聞けば、先輩も徒歩通学なんだそう。意外な共通点に、またショッピ君に報告することが増えたと頬が緩む。
「それより先輩、家の方向まで同じなんですか？」
学校をでてからずっと私と同じ方向を曲がる先輩。ひょっとして、先輩の家はどの角を曲がるんだろうとこっそり確認しようとしていたのがバレたのか。
「は？一緒に帰るんやろ？」
「…へ？ばちこり帰ってますけど、？」
「え？一緒に帰るって、…家まで送るって事やろ？」
「お、おく、え！？」
送る！？家まで送る！？先輩が私を家まで送り届ける！？
なるほど、だから先輩はずっと私と同じ道を歩いていたのか…って、そうじゃない。
「すみません、私…同じ方向の所まで並んで歩くだけだと思ってました」
「それ帰るって言わんやろ」
「じゃあ先輩の家って、」
「あぁ、あっちの方やで」
進行方向と真逆を指さす先輩。
「あっちって、めちゃくちゃ逆じゃないですか！」
「あーせやなぁ、残念やったな近所じゃなくて」
「違います！その心配じゃないです！」
だってそれって、先輩はわざわざ私のために自分の家と真逆の方向に遠回りして帰ることになるじゃん。私最悪、死のう。
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美雨 - この作品お気に入りすぎて5回くらい見ました、、、()本当に素敵な作品できゅんきゅんしまくりです！！！最後の言葉がぐっと来て本当に泣きそうになりました。素敵な作品ありがとうございました。 (2023年1月7日 17時) (
レス) @page50 id: c21832273f (このIDを非表示/違反報告)
しょうゆ - はぅ、、、、、とんとん、、、、、ちゅき、、、、、 (2020年9月28日 11時) (レス) id: f773b15172 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - 初コメ失礼します…あー！！！！！甘酢っぺぇ！会社の方見てからこっち来たんですけどどっちも甘々なのになんか、両方とも違う甘々でくっときました…天才ですか…好きです。長々と失礼いたしました…これからも応援しています…！ (2020年7月13日 6時) (レス) id: 57a2a5c5a9 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - もうなんか今順番に読んでるんですけど必ずと言っていいほど泣くんですけど、え？tn氏かっこよすぎん？好き。 (2020年5月26日 3時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 初コメ失礼します！もう感動しすぎて泣いちゃいました........ (2020年5月13日 17時) (レス) id: a7dcf8f420 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2019年12月31日 0時
