6話 ページ7
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それから隣で鬱先輩の視線を感じつつ、残りの書類を片付けること1時間。ようやく片付いたデスクの上に突っ伏する私に投げかけられる「お疲れ」の声。
「………鬱先輩、帰らなくてよかったんですか」
「ええねんそんなの。急いで帰ったところで待っとってくれとる人もおれへんから」
俺寂しいやろ、とおちゃらけるいつもの姿にクスクスと笑い、部長の机に書類を放り投げてバッグを肩にかけた。
「Aちゃん電車やんな？俺送ってくよ」
「え？いやそんな、悪いです」
「気にせんでええよ、俺今日車やねん」
余計に悪いです、と反論し、並んでエレベーターに乗り込む。うーん、と考え込んでいた鬱先輩は突然ハッとしたかと思えば、苦笑いで口を開く。
「……せやな、ゾムに悪いか」
「あぁ……、あはは、まぁちょっと」
実際悪くもなんともないのだけれど、鬱先輩に無駄足を踏ませてしまうのを上手く回避してくれたゾムくんに今だけ少し心の中で感謝する。
「どうなん？ゾムとは上手いことやってんの？」
「えーと……まぁそれなり、です」
「せやんな、いつも一緒におるもんな、2人」
付け入る隙ない空気感、と本当か嘘かそんなことを言う鬱先輩に曖昧に笑い、駅へ向かう道と駐車場へ向かう道とで立ち止まる。
「あー…心配やなぁ、1人で歩かせんの」
「鬱先輩って過保護ですよね」
「そう見える？Aちゃんにだけやねんで、実は」
「………嘘ばっかり」
嘘ばかり、なんてどの口が言ってるんだか。
呟いた私の言葉を否定も肯定もせずにヘラリと笑ってみせた鬱先輩は、ちらりと私の顔を伺う。
「仕事……悩んでんねやったら俺になんでも言うてよ。話くらい聞いたるし」
「……へへ、ありがとうございます」
「ったくゾムも薄情よな、手伝ってやってもええやんか」
なぁ？と同意を求められまたもや曖昧に笑う事になるわけだが、鬱先輩の言葉に少しだけ気持ちが軽くなったのは言うまでもない。「俺もそっち行けたらなぁ」と配属先が違うことにブツブツと文句を言う鬱先輩に「お気持ちだけ受け取っときます」と肩を竦める。
それから立ち話を重ねること数分、そろそろ帰る空気になりかけたところで、鬱先輩は私に制止をかけた。
「あのさ、Aちゃん」
今までと打って変わった真剣な表情に首を傾げれば、真っ直ぐな瞳に射抜かれる。
「これから辛かったり苦しかったりしたとき……俺んとこおいでや」
え、と呆けた顔の私は、背を向けたその姿を暫く呆然と見送っていた。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…（語彙力皆無） (2021年3月31日 14時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ！！(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした！神作品ですね！というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています！長々とｺﾒﾝﾄ失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月11日 22時
