3話 ページ4
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半年前に決めたルールは、今まで全て破ったことは無かった。
職場ではなるべくゾムくんと行動を共にしている私を周囲は完全に『社内人気トップのゾムくんの彼女』として認知していたし、相変わらずゾムくんにも私にも本命の相手ができるわけでもなかった。
2つ目のそれに関しては、ゾムくんはどうだか知らないが、内心私はゾムくんと一緒にいる限り本命など出来ないんだろうなと腹を括っていた。
というのも、元より彼から提案されたこの『恋人ごっこ』基、身体だけの関係で、私は満足してしまっていたから。今更好きな人を見つけるのも億劫だし、誰か別の人と付き合ったところで今ゾムくんとしていることと何ら変わらない事をすることになるわけで。
だったらもう、ゾムくんに好きな人ができるまではこのままでいいや、と。
ゾムくんが私の寂しい心の隙間を埋めてくれる間はそれに有難く寄りかかっていようと、気づけば私の方がこの関係を必要としてしまっているのだった。
「あ、せや。どこ行く？週末」
「……んー…おいしいご飯食べたい」
窓もない閉鎖的な安いホテルのベッドの上、脱ぎ散らかしたスーツに腕を通しながら問いかけるゾムくん。
愛情の無い私たちにピロートークなどというものは存在せず、ただ淡々と今後もフェイク投稿をSNSに重ねるための嘘の約束を取り付ける。
1度熱を吐き出せば、何事も無かったかのようにいつも通り。余韻すらも残らないあっさりした行為はさほど体温も上がらない。
「じゃあ、…んー、前言ってたとこあったやん？新しく出来た言うてたやつ」
「あぁ…うん。いいよ」
必要最低限お互いに触れない。行為中であってもそれは変わらない。そんな底冷えした関係でも、私は満足していた。
ものの1時間弱で後にしたホテルから並んで駅へ向かって歩き、隣の彼との距離は数十センチ。数分前まで肌を重ねていたとは思えない、その距離感。
ゾムくんが乗る路線のほうに先に電車が到着し、「じゃ、また」と片手を上げて背を向ける。
どこまでも『他人』な私たちは手を振り合うことなどせず、別れを惜しむことも無い。
誰でもいいわけじゃない。かと言ってゾムくんじゃなきゃダメなわけでもない。
宙ぶらりんな私の気持ちは、今日も彼と別れて吐き出されたため息に混じって溶けた。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…（語彙力皆無） (2021年3月31日 14時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ！！(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした！神作品ですね！というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています！長々とｺﾒﾝﾄ失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月11日 22時
