2話 ページ3
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ゾムくんと私の間に愛情など存在しないが、そこには温情ならあった。
元々彼は、大学時代の友人だった。否、友人とも呼べない、『お互い何となく存在は認知している』という程度の関係。それからたまたま就職先が同じで、初めて目を見て話したのがちょうど一年前。
所謂同期となったゾムくんは、他にも数多くいる同期の中で辛うじて顔見知りだった私とよく話してくれた。同じ部署に配属となったのも相まって、週何回か飲みに行くような間柄にまでなったのが半年前。
そしてその半年前、その頃私は彼氏に振られて抜け殻だった。そんな私を毎日のように励ましてくれた彼は、1つ提案をする。
『____じゃあ、俺と付き合う？』
は？と少女漫画のような展開にぽかんと口を開ける私を見て、ゾムくんは訂正をした。『付き合っとるフリとかどう？』と。
ゾムくんはそれこそ大学時代も入社してからも周りには数多く女性がいたけれど、その中に1人も特別がいないのは知っていた。
だからって、なぜ？と訝しげな私にゾムくんは困った顔で、『彼女いたら断る理由になんねん』と呟く。
そしてゾムくんは、『付き合っているフリ』をするにあたって3つのルールを提示した。
1つ、周りに付き合っているように見せかける。
2つ、私かゾムくんのどちらかに本命ができたらこの関係はおしまい。
そして3つ、お互いを好きにならない。
そんなルールを律儀に守り続けて早半年、今日も私たちは周囲を欺き、やっと開放されたいつもの居酒屋でグラスを煽り伸びていた。
「はーー……もう疲れた、仕事辞めたい」
「なに？また書類回されたん？」
「みんなバカにしてるの、私のこと！断れないと思って！」
ダンッ！とグラスを叩きつけて喚く私を見て「まぁまぁ」と笑うゾムくん。
温情がある、というのは、例えば彼のこういうところ。
ただの同期の仕事の愚痴にも付き合ってくれる彼は、今日も人の分まで仕事をこなして残業コースだった私を見かねてアルコールでの発散に付き合ってくれていた。
私たちに愛情などない。
ただ、ゾムくんは私の変化にいち早く気づく。それは、皮肉にも一番近くで私を見ているからに他ならないのだ。
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ぴざる2号(プロフ) - 泣いた…やばい…うわぁぁ…好き…（語彙力皆無） (2021年3月31日 14時) (
レス) id: fa56edbecd (このIDを非表示/違反報告)
ことこ(ドS娘)(プロフ) - あーーーーーーーーーーdi先生ーーーーーーー(震え)って現在なってます。うううううう推しはzmさんなのにううううううこんなに私を惑わすなんて……罪ですねっ！！(オールで小説を読んでた馬鹿野郎より) (2020年8月15日 8時) (レス) id: 0a70119f62 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - えぇ、、、無理、、、好きです。もう最高でした！神作品ですね！というかtn落ち多いしzm落ちのこの作品もむっちゃよくてtnzmが最推しな我歓喜 (2020年5月26日 2時) (レス) id: d1841ceef2 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - あと1週間はこのお話のエモさを思い出しては悶えると思います。本当に素敵な作品をありがとうございました。次回作も応援しています！長々とｺﾒﾝﾄ失礼しました。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 変わっていく気持ちが、さらにutさんと2人は違うということを強調されていて、報われないutさんに心が苦しいです。でも2人がﾊｯﾋﾟｰｴﾝﾄﾞを迎えられて本当によかったです。zmさんはこのお話の主人公でしたが、utさんこそ間違いなくヒーローだったと思います。 (2020年3月6日 9時) (レス) id: e6da1803b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらら
| 作成日時：2020年2月11日 22時
