「dragon fruit/第三話」 ページ18
「ああッ、羨ましいッ！！…いや、違うッ！！影片！！いま食べたものを『ぺっ』しなさい！『ぺっ』！」
突如響いたその声に、かげくんがびくりと肩を震わす。
「んぐ……ッ？？！んあぁ？！これが“ドラゴンフルーツ”やったん？ごめんなぁお師さん！今のでビックリして飲み込んでもうた！！」
「この…ッ！！出来損ないが…！！」
お師さんが頭を抱える。何だかシュールなコントのようだ。
「…もう切ってきてしまったものは仕方がない。それより美波、もしも願いが叶うなら、僕にも『あ〜ん』してほしいのだけれど。“それ”以外で。」
お師さんがゆっくりと座り直しながら僕に言葉を投げかける。
「いいけど、これ、お師さん前にも食べたことあるでしょ…。にーくんも言ってたけど、好き嫌いしちゃだめだよ。ほら、あーん♪」
僕はフォークでドラゴンフルーツを刺して、お師さんの口元にぐいと押し付ける。
しかし“それ”が唇に接触しているのにも関わらず彼は反応を示さない。お師さんの意識は別のものに向いているようだ。
「美波、今笑ったのかね？今のは僕も見たよ！あぁ美波！なんて麗しいんだ、美波美波美波！創作意欲が湧いてきたっ、次のアイディアが湯水のように…やめっ、“それ”を近づけるな！！あぁもう、本当に、君たちは僕が操るとおりに動いていればいいのに………！」
顔を背けさせながら彼は言う、二人の微かな笑い声も聞こえてきた。お師さんも、口ではそう言いながら心から嫌がっている様子は見られない。むしろ、その声には活力が戻っていた。
…良かった。元気出たみたい。
僕たちは、紅茶を飲みながら一つの皿に盛られた果物を分け合った。温かい笑顔が満ち溢れ、その一時、修羅に身を置いていることを誰もが忘れられる程確かな幸せを抱いていた。
そして…それが僕たちが心から笑い合った最後の日になった。
「獅子狩り/第一話」→←「dragon fruit/第二話」
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みん。(プロフ) - 朱憑（さぶ）さん» コメント下さりありがとうございます！！好き、何周もしているとのこと、感無量でございます！！！そして御指摘の通り仁兎です！ハチャメチャに誤字しておりました！すぐに修正しました気づいてお教えて下さりありがとうございます！！！ (2023年2月21日 0時) (
レス) id: febc79156f (このIDを非表示/違反報告)
朱憑（さぶ） - この作品好き過ぎて何周もしています笑 ところでなのですが…なずな君の苗字。二兎ではなく仁兎だと思います…！ (2023年2月19日 16時) (レス) @page14 id: 369ab47d46 (このIDを非表示/違反報告)
みん。(プロフ) - おかゆさん» コメント下さりありがとうございます！この作品がおかゆ様の目に止まったこと、そしてページを開いてお読み下さったこと、嬉しい気持ちと感謝で今胸が満たされております！おかゆ様の心にジャストミートできて良かったです！！ (2022年12月27日 23時) (レス) id: febc79156f (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - Valkyrieの作品を探していたらたまたま見つけ読んでみました。雰囲気などがドストライクでした。好きです。これからも更新頑張って下さい。 (2022年12月27日 22時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
みん。(プロフ) - 百華夜さん» ぬわぁー！まさかコメントを戴けるとは思っておりませんでした！！お読みいただきありがとうございます、そして励ましのお言葉心から感謝致します！！ (2022年12月27日 16時) (レス) id: febc79156f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みん。 | 作成日時：2022年11月24日 1時
