一緒に過ごすならさ、 ページ2
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「はあ、なんでAとデート出来ないんよ、しんど」
「職権乱用しようとすな」
1ヶ月以上振りの電話では、お互い今日はどんな仕事をして、萌と正門さんにそれぞれ報告したらどんなリアクションで、他にはどんなことがあったかなんてことを話していて。その次に話題になったのは、いよいよ明日に迫った例のロケのこと。
「Aはどうも思わないん」
「私は、逆に良かったかもしれない」
「はあ？バレるかもしれへんからってこと？」
声だけでも分かりやすく拗ねてる。かわええ。
「一緒に回れてもせいぜい30分やん？健くんとおったら30分なんてあっという間やし、30分なんかで離れたないから」
「なにそれ、かわいい」
「…スタッフさんもおるんやから、そもそも2人きりにはなれへんのよ、考えたら分かるやろ、あほ」
「うわ、照れてる、かわいい」
呑んでるわけじゃないのに、顔が熱い。健くんの言う通りめちゃめちゃ照れてるし、なんかクサいことを言ってしまって恥ずかしい。
「明日健くんのこと一瞬でも見たらニヤニヤ止まらんくなりそうで嫌やな」
「そんなん言うて避けてたらそれはそれで怪しくなるから、頑張ってや」
「あ、健くんをかぼちゃやと思えばええんや！」
「かぼちゃってなんやねん、お姉さんの彼氏ですよ小島は」
なんやねんってなんやねん。結構良い方法やと思ったのに一蹴されたわ、悲し。
「明日、仕事終わったらさあ、」
「ごめん、明日バイト」
「え、今日もバイトやったんちゃうの？」
「今週からシフト増やした、今よりええとこに引っ越したくて」
明日、どっか連れてってくれるつもりやったんかな。私も一緒に行きたいしほんまに申し訳ないけど、稼がなあかん理由増えたからしゃあない。
「ボロくて狭いアパートに健くん入れたないし」
「俺、気にせーへんよ、そんなん」
「私が気になるんよ。もっと衛生的にもええとこにしたいし、ソファーで一緒にくつろぎたいからそれも余裕でおけるくらいのスペース欲しいし、今布団やけど一緒に寝るならベッドがええし。ごめんなあ」
「シフト増やした理由が可愛すぎるから、許したるわ」
このままやと、バイトの方が本職になってまう…。
バイトのシフトよりも芸人としての仕事が増えるようにせな。もっと頑張れ、私。
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作者名：もやし | 作成日時：2022年9月29日 22時
