【男主】疲れるくらい愛されてます。 (ページ17)

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末澤side

末澤「どっかで見たセットアップやな…」

『そっちこそ、どっかで見たパンツですけど』

2人でどこかへ行くのは飯以外では初めてで、久々に何着てこうかを前日から悩み始めていた。

Aが載った雑誌のインタビューは恋愛に関することやったから「何かヒント無いんかな」と見直したものの、それに関するヒントは無かった。
あったとしても女の子のことやから、どちらにしろそのヒントは使えへん。
「どんな子がタイプ？」っていう質問を何度も読み返したけど、「好きになった子がタイプ」なんだからそりゃ良い情報を得られるはずも無く。

考えたら分かることなのに。相当浮かれてたわ、俺。
結果、「恋愛の経験がある訳じゃない」という文章にひたすら「愛おしい」と思うだけの時間をしばらく過ごした。

だから、Aがめちゃめちゃ褒めてくれた黒のワントーンコーデで行こう…となったのはええんやけど。
動画のままだと流石に引かれる気がしたから、Aが特に褒めてくれたチノパンはそのままにして上だけ変えた。

そしたら当日、そんな俺よりも見覚えのあるコーディネートでやってきたから、「今日デートだと思ってくれてるんかな」と都合のいいように解釈して、とりあえず車に乗せて目的地へ向かう。

『運転の上手い男はええわ、やっぱり。女の子の理想やろな』

末澤「えーそうなん？駐車する時手添えられるんが良いってのは聞いたことあるけど、今そんなんする必要ないくらいの機能も付いてるし、もうそんな女の子多くないんちゃう？」

『俺女の子分からんわ…俺やったら運転する姿にきゅんきゅんすると思うけど』

末澤「やけに視線感じたのはそういうことか」

『うっさい！でも身長のせいで台無しやで！』

末澤「もう10cmでかかったら惚れてたってことなん？」

そう言うと、さっきまで俺に負けずにキャンキャン吠えてたはずの隣の奴は急に静かになり、代わりに両手でさっき買ったホットコーヒーを飲んでいた。

『ジャニーズみたいな返しするん辞めてください』

末澤「ジャニーズやねん、俺」

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