第五章 【理想怪奇「死竜魔」】 ページ35
「おいおい、おいおいおい、冗談じゃねぇぞ。いくら魔剣士とはいえ、魔物退治はやった事ないんだが!?」
「月城、来るわよ!」
ジャバウォックの怪物は前足で薙ぐように爪を立てて攻撃を繰り出す。どうにか避けていくが、その後を追うように結晶弾が飛び交う。四方の鏡に反射され結晶弾は無造作に散りばめられていく。
「足止めくらいはしてあげる。
アビリティ発動、『地を彩る朝顔』!」
庭園の地面を、夢乃が使役する朝顔のツタが占領する。ツタはジャバウォックの怪物の翼と尻尾を掴んだ。朝顔の花は上空を支配するアップルへと結晶弾を飛ばす。アップルはそれらを華麗にかわし、ジャバウォックの怪物は負けじとツタを千切らんと腕を振るう。
「させないぜ。
アビリティ、『シャイニングドライブ』!」
能力を発動し、枝のように軽くなった魔剣をジャバウォックの怪物へと投げ飛ばす。魔剣は雷のように光を放ちながら一閃を描き、見事怪物の頭に突き刺さる。そしてダメ押しと言わんばかりに足裏にセットした魔法陣を蹴り上げ、飛ぶように接近しグリップを掴んだ。
「魔剣解放ッ!!」
瞬間、魔剣の光は怪物の頭の中で爆発するように膨張した。
ジャバウォックの怪物はまるで糸が解けたように、光となって消えて行った。
「ふむ、この疲労感……。これが“アビリティブレイク”か。だが、まだまだこれからだぞ。次はどうなるかな!?
アビリティ発動、『クレエブレの巣穴』!」
彼女を中心に、結晶弾が円を描くように放たれる。その弾幕は綿密で、時々襲ってくる直線のレーザーがさらに逃げ場をなくしていく。俺は手鏡を起点に、夢乃は地面を彩っている朝顔たちで結晶弾を相手に撃ち込んでいく。
「なるほど、なるほど!これが理想の都が提唱した決闘!お互いの力を余す事なく相手にぶつけ合うか!互いの願いが可視化され、それらは矛となり、盾となり、遊戯として雌雄を決する!なるほど、実に愉快な決闘だ!!」
相手の攻撃が一層激しくなる。ぐるぐると周りを覆う結晶弾とレーザーの密度に酔いそうになりながらも回避し、宙へと飛び上がる。
「貴様が相手か、いいだろう。何処の馬の骨かも分からん人間と戦うもまた一興、貴様の理想をぶつけてみろ!!」
「良いぜ、俺だって手加減しないからな!」
第五章 【理想怪奇「死竜魔」】→←第五章 【理想怪奇「死竜魔」】
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミンミンゼミ31039 | 作成日時:2018年12月8日 22時