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第二章 【お騒がせ埋葬人】 ページ18

一気に距離を詰めるべく、足の裏に魔法陣を形成してブーストをかけていく。魔法陣を足場に蹴り上げれば押し出してくれるようになっており、飛んでいくようにアラタの上空を取った。相手めがけて振り下ろす魔剣は、相手のスコップに防がれる。

「意外とアクティブじゃんか、兄ちゃん」
「まーね、魔剣士だし」

 互いの得物を弾き、また距離を取る。後ろからゆっくり迫ってくるゾンビたちの気配。人数に押されると不利になるっていうのは本当なんだなぁ。

「兄ちゃん相手には手段を選んでられねぇらしいな。
 いくぜ、俺の渾身のアビリティだ!『死体埋葬歌』!」

 ゾンビたちが一斉に奇声を上げた。つんざく奇声に思わず耳を塞ぐ。それでも耳の中に届いてしまう奇声が精神を揺るがす。

「なんだ、この奇声……!」
「スコップが今まで受けてきた呪いを可聴化したアビリティさ。音ならいやでも相手の精神に到達する!この奇抜なアビリティが俺の二つ名『お騒がせ埋葬人』の由来だぜ。
 そして、隙を見せたら最後!」

 スコップを両手で持ち、動けなくなっている俺の方へ走ってくる。振り回されるスコップに魔剣で防ごうとするが、奇声による精神攻撃の効果がここで来てしまった。
 反応が少し遅れた俺の脇腹にスコップの腹が当たり、フルスイングされたことで吹き飛ばされる。地面に転がるようにして吹き飛ばされた俺の右手から魔剣が手放される。慌てて立ち上がるが、目の前にはゾンビの壁が出来上がっていた。

「死体どもに潰されちまいな!」

 ビシッと指差して決めると、それを合図にゾンビたちが一斉に覆いかぶさってきた。

「兄ちゃんの剣が手元にないんだ。これで勝利はもらったぜ」

 死体が覆いかぶさって出来た山。そこから音はしない。

 ……いや、そこから光が漏れ出す。その眩い光がゾンビたちを吹き飛ばす。一斉に出現した結晶弾の弾幕も、光がかき消す。

「……アビリティ、『魔剣封印の鞘』」
「なにっ!?」

 俺の魔剣は一味も二味も違う。そこら辺の剣じゃないし、なにより俺の魔剣は“鞘だって武器”になるのだ。

「魔剣、」

 手をかざせば魔剣はひとりでに動き、俺の右手へと納められる。信じられないと言いたげなアラタに、不敵な笑みを見せつけてやった。

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設定タグ:一次創作 , オリジナル   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:ミンミンゼミ31039 | 作成日時:2018年12月8日 22時

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