第一章 【影は光を喰らう】 ページ12
結晶弾が多く飛ばされる音がする。音を聞き取ることで自分の近くに飛んでくる結晶弾はなんとなく分かるが、下手に避けると流れ弾に当たる。おかげで右頬をかすった。
「逃げても逃げても、暗闇と見えない攻撃が襲ってくるから『悪夢』、ねぇ。中々オツなネーミングセンスしてるじゃねーの!」
「嬉しいねぇ、ありがとう」
「掛かったな!」
声の聞こえたところに向けて魔剣を振るう。光の衝撃波がそっちへと飛んでいく音がしたが、その後には木が倒れる音だけだった。
「おっと、危なかった。危うく場所を特定されるところだった」
相手の声が後ろからする。結晶弾が飛ばされてきた音がした。
「アビリティ、『ホーリーウォール』!」
魔剣が熱を帯びる。途端、自分の周りに光の壁が出現した。魔剣に貯めておいた魔力を一気に放出するので燃費は悪いけどな。その壁は結晶弾を打ち消し、一瞬だけ暗闇を照らす。その時、ふと相手の顔が見えたが、この時勝利への道筋を思いついた。
「さすがは光の魔剣士。この暗闇を照らさんとばかりの光だ。けれども僕の能力の前では、君の目に光が届くことはない」
「そう、確かにお前の能力で俺は光すら見えない。だが、導は見えた!」
ポシェットから手鏡を二枚取り出し、おもむろに上空へ投げる。手鏡は落ちる事なく宙を漂う。
次に魔剣を構え、自身の魔力を真剣に集中させる。魔剣はそれに応えるように淡い光を帯び始めた。
「鏡は光を反射する。光が強ければ強いほど、反射される光も強くなる!」
魔剣が帯びている光を一気に輝かせた。瞬間、俺の目に眩しそうに顔を歪ませる相手が見えた。鏡は相手の方を向き、反射している光は相手をスポットライトの様に当てている。
「お前、能力自体はすごいけど『その対象が一人しか選べない』んだろう?そしてお前は暗視が出来る。その隠れた右目が、お前の『くらやみ目』としての本質!
少量の光でさえ、お前の右目は失明する程に眩しすぎる。だから普段明かるい内は左目で視認している。それでも眩しい場合、自身に能力をかける事で問題なく右目で視認することができる!
強力な魔剣の光がお前を照らした事で、俺の目に掛けていた能力を咄嗟に自身に掛けた!生物としての『反射的な行動』から!」
「ほんの少しの間に、まさかここまで能力の看破をされるなんて……!」
「アビリティ発動!『シャイニングドライブ』!」
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作者名:ミンミンゼミ31039 | 作成日時:2018年12月8日 22時