花田さんは笑い方がおかしい。

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花田さんは、笑い方がおかしい。


一括りに笑い方と言うとイメージしにくいと思うが、僕の隣に座っている花田さんは誰が見ても笑い方がおかしいと思うのだ。

例えば、僕の名前は織田信長。

正直、苗字が織田だからと言って安易に下の名前を信長にするのは流石にバカじゃないかと思っている。

そのせいで書道家の先生がえらく僕の名前を気に入ったらしく、学校のてっぺんに「織田信長」と物凄い達筆で書かれたのぼりを掲げられてしまう始末だ。
どうせなら行書じゃなくて楷書がよかったなぁ。

まぁ、そんな事はどうでもいい。

この織田信長という身の丈に合わない名前のせいで、隣の席の花田さんは毎日爆笑している。

恒例の出席確認。

僕は織田で「お」だから、割と早く名前が呼ばれる。
しかも「あ」「い」「う」から始まる苗字の人がいないものだから実際早いなんてレベルじゃない。
ここは１組だから卒業式の時最悪だ。

脳裏に、あと三ヶ月でくる卒業式が鮮明にイメージされる。

“卒業証書、授与”

多分これ言うのハゲの教頭だろうなぁ。

“1年1組、榎本 木本”

“はい”

あと、ちなみに記念すべき出席番号1番のこいつは苗字だけでなく下の名前も苗字のようなやつだ。
しかも両方に「木」がつくものだから、点呼の際は別人だと解釈してきてわざわざ隣のクラスの木本がよくウチに返事をしにくる。

まぁ榎本も木本もいいやつで、割と仲がいいほうだ。最近は一緒に100均巡りに行くことがマイブーム。
ラウンドワンか100均の二択だと、あいつらも僕も100均を選ぶだろう。

なんか100均って、男のロマンのような気がするんだよなぁ。

榎本は100円均一のカウンターにいる、顔にスカウターを付けた絶世の美女が気に入っている。なぜスカウターを付けているのかは僕にはよくわからない。
強盗が来た時なんかに役に立つのではないだろうか。

でも正直榎本なら、あのスカウター美女と付き合えてもおかしくないと思う。
榎本は岐阜とか栃木とかの道の駅を歩いてるときによくスカウトされる。なぜ岐阜や栃木なのかは分からないが、榎本はそこら辺のやつよりは顔の作りがいい方だと思うので納得だ。

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