(29)イカヅチ ページ31
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「聞こえますか?」
『はい、2時の方角から2つ音がします。人の心臓の音です。特級と見られる音は真逆の方向にいますね』
吾郎さんを肩に乗せて、耳を澄ます
病院内に神経を張り巡らせて聞こえてくる音はその2つと特急と見られる呪霊の音が1つ。計3つ。
つまり、他の取り残された4人の音は聞こえてこない
それを聞いた七海は舌打ちを打って、Aが指さした方角へと進んでいく
Aも七海の後を追って特級の音に神経を削りながら進むと、小さな子どもが2人、涙を流し廊下で身体を縮こませながら座り込んでいた
「保護します、そして一度撤退を。」
『分かりました』
Aが先に子どもたちに近づき、できる限り表情を穏やかにして話しかける
『よく頑張ったね、助けに来たよ
お姉ちゃんたちと一緒にお外に出よう』
手を伸ばして、子どもたちから手を握ってくれるのを待つ
この状況で無理やり引きづり出すのは不味い
子どもたちが混乱せずに、微かな信頼を得て共に行動してくれた方が無事に撤退できる可能性が高くなるのだ
しかし、事態は上手く行かなかった
「…グスッ…お、お姉ちゃんたち、逃げて…!
アイツが、アイツが来ちゃう!!」
2人のうちの1人がそう叫ぶように言った
刹那、呪霊の音がグンッと動いた
高速で近づいてくる音
『っ七海さん!正面から来ます!』
七海も気配で感じ取っていたため、瞬時に反応した
ドガンッ!!と壁をぶち破って姿を現した特級と七海の鉈の攻撃が衝突しあう
Aは子どもたちに離れておくように指示して、すぐに加勢に入る
口が両頬にあり、手のひらにも牙の生えた口
合計、口が5つある姿の大きい呪霊だった
しかし、特級になりたて と言った伊地知の情報が正しかったのか、一級とほとんど実力は変わらない
そのため優勢なのは七海とA
場数は乗り越えてきているため、七海の術式で推し祓える
そう、確信したときだった
「キィィィィイイイイイ!!!!!」
特級が耳をつんざくほどの高く不快な奇声を上げた
頭の中に雷が落とされたように、思考が止まる
普段は聞こえない超音波のような音が、脳内に駆け巡ったのだ
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ほやっく(プロフ) - souさん» コメント嬉しいです〜!!読んでくださりありがとうございました!!! (2022年1月23日 10時) (レス) id: f8046942e5 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様です!私も恵くん大好きなのでオチが恵くんでとっても嬉しかったです!! (2022年1月22日 21時) (レス) @page40 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほやっく | 作成日時:2021年3月3日 19時