戻れないから呼ばないで【オリジナル】

◆45話 ページ46

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「……あのさ、今日ほんとは、それ言うつもりだったんだ」

微動だにしないまま、直斗が続ける。

「夏祭りの時にさ。……でも、彩音がなんか大事なこと話すっていうから、いじめに関してとか、そういうのかもしれないと思って」

少し笑った気がした。
ほんとにほんとなの？
冗談でなく？

「結局違ったんだけど。……で、この後別れ際に言うつもりだった」

口を閉じた直斗がじっとこっちを見つめてくる。
両想いってこと？
なんて返すべきかわかんない。
流石に勘違いってことはないよね。
でも、はっきり好きとは言われてない。
いや、でも好きってこと？

……期待、してみる。

「じゃあ、両想い？私のこと好きなの？ほんとに？」

今までさんざん勘違いしちゃってたから、やっぱり怖い。
でも、聞かないと何もわかんないから。

「……そう、だけど」

わ……。直斗の赤面なんて初めて見た。
ずっと好きでずっと見てきたのに。

「Aのことが好きだよ。ほんとは俺から言うつもりだったんだけど」

まぶたの裏が熱くなる。
なんで、また、こんな、泣かせに来るかな？
もう泣かないって決めたのに。
嬉し泣きってしたことないや。

「だからさ、俺と付き合って」

答えなら決まってる。
ずっとずっと、欲しかった言葉。
そんなことありえないって、閉じ込めてきた。
ただ好きでいられればいいと思ってた。

それなのに今、こんなことになるなんて。
バチ当たったりしない？
絶対、する。

ああ、でも、今が幸せだからいいかな。

「……うん。直斗の彼女になりたい、です」

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