現実 ページ10
これは夢なのかもしれない。モトキ君を好きすぎる故に見てる都合のいい夢なんじゃないか。だって、私が誰かとお付き合いをする事になるなんて…想像もしてなかった。
憧れがなかった訳ではない。けど、私は耳が聞こえない。“普通の人”とは違うから。だからどこか諦めていたんだ。誰かを好きになって、その好きな人も私を好きになってくれて、お付き合いをする事を。
［俺と付き合ってください］
［はい、よろしくお願いします］
モトキ君は嬉しそうに笑って私の手を両手で包む。この手の温かさがこれが夢ではなく現実なんだと教えてくれた。
私モトキ君のそういう顔好きだなぁ。何ていうか、可愛い。男の人に可愛いってどうなんだろう？でもモトキ君は可愛いんだ。
ほら、その幸せそうに笑う顔が可愛い。可愛くて、好き。これからモトキ君の隣でその表情を見れるのか。私だけの特権、なのかな。えへへ、嬉しい。
ふわふわした気分になってるとモトキ君の口が“好き”って動いた。私もだよ。私も、モトキ君の事好き。そう、言葉にできたらどんなによかったか。私にできるのは手話か筆談か口パクかのどれかしかない。
今、人生で初めて…この耳で誰かの声を聞いて、この口で自分が何を言っているのか分かった上で返事をしたいと思った。
［そろそろ帰ろうか］
［……そうだね］
帰ろうかなんて言ったけど、本当はまだ一緒にいたいって伝えたら我儘かなぁ。でもこれ以上一緒にいたら心臓爆発しそうだし……うん、やっぱり帰ろう。これが最後じゃないしね。
モトキ君が先にベンチから立ち上がって私に手を差し出した。もう恋人、なんだし……手、繋いでも大丈夫だよね……？そっと手を伸ばしたら指を絡められた。こ、これは…所謂恋人繋ぎだ……！あ、私手汗大丈夫かな！？拭っとけばよかった！！
なんて今更遅いけれど。嬉しそうなモトキ君を見たら一旦手を離して、とは言えない。だってそう言えば悲しそうな顔しそうだし。それは嫌。
ねぇモトキ君、私モトキ君の笑ってる顔見るの大好きなの。だからこれから、隣でいっぱい笑っていてね。
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瀧(プロフ) - mikaさん» そういうコメントくださると本当嬉しいです、ありがとうございます。私の作品が誰かの需要になってるんだと思うだけで頑張れます。でも最近更新ペース遅くなってすみません…。 (2019年11月12日 0時) (
レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
mika - 尊い... (2019年11月11日 8時) (レス) id: 590e6520a9 (このIDを非表示/違反報告)
mika - 更新されないと思ってたら移行してた笑 (2019年11月6日 16時) (レス) id: 590e6520a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2019年10月30日 0時
