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寒空 ページ23

[何やってるの?]



手話で聞けばスケッチしてたと返ってきた。スケッチって…こんな寒空の下?しかも今深夜だし。何も今やらなくても……。


Aさんの肩にブランケットを掛けてから隣に座ってスケッチブックを覗き込んでみた。そこには描かれていたのは夜空と星。夜空が描かれたページを1枚捲って真っ白な何も描かれていないページにペンを走らせた。俺にも鉛筆を貸してくれたから一緒に書き込んでいく。



《私、冬の夜の空気が好きなんだ。だから今の時期結構ベランダ出て描いてる事多いよ》
《ちょっと分かる。でもせめてブランケットとか持ってきなよ。風邪引いちゃうよ》
《うん、今度からはそうする》



そう書くとAさんはブランケットを俺の肩にも掛けてくれた。だから俺はずり落ちないようにするためにAさんに体を寄せた。ぴったりくっついたおかげでさっきよりも温かい。これはこれで悪くないかも。



《起きたらAさんが隣にいなかったからびっくりしたよ》
《モトキ君を起こさないようにベッドから抜け出たんだもん》
《起こしてもよかったのに》
《帰ってきてそのまま家に来てくれたから疲れてるかなぁって思って》



まあ、実際疲れてたけどさ。Aさんに会えたから疲れなんて吹き飛んだように感じたんだよね、ベッドに横になるまでは。あんなにすぐ寝るなんてちょっと予想外だった。


Aさんの俺を気遣うその気持ちは凄い嬉しいけど、やっぱりもっと話してたいじゃん。久し振りに会えたんだもん。



《モトキ君、お願いがあるんだけど》
《何?》
《ぎゅってしたいです》



照れ隠しなのか、敬語でそう書いたAさん。少し下にある顔を見ると逸らされた。多分どころか絶対照れてる。自分から言い出したくせに。まあそんな可愛いお願い、俺が断る訳ないんだけどね。


鉛筆を床に置いてAさんの体に腕を回した。あー、温かいな。暫くしてAさんの腕が俺の背中に回った。この体勢だとAさんの顔も見れないし手話もできないから話す手段がなくなるけど、でも俺はこの体勢が好き。


もぞもぞAさんが動く気配がしたから顔を動かしてみた。俺を見上げる体勢のAさんと目が合う。そしたらにこぉって。俺の大好きな笑顔が見れた。



「はは、かーわい」



真冬の深夜にベランダでやらず部屋の中でやれって思われるかもしれないけど、この時間は俺の大切な思い出の一つになった。

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Ria(プロフ) - やばいです…感動ものです……グスッ、泣いちゃいました…。素敵な作品をありがとうございます…!! (2020年3月22日 21時) (レス) id: 33e95337be (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 善処さん» ありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!(*≧∀≦*) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - wwwさん» やっぱりそう思いますよね…分かります。 (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - danchanさん» 三宅さんが手話ができると知ったので、これは出すしかないと思い、出させていただきました! (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆりりんさん» 作者も書いてて泣きそうになってました…(´;ω;`) (2019年10月29日 10時) (レス) id: 6f454b9d63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月9日 0時

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