78-真っ暗な世界を彷徨う1人の少年 ページ28
────真っ暗な世界だった。
見渡しても誰もいない、耳を澄ませても何も聞こえない。
子供の自分には心細く、恐怖が渦巻く。
不安で、寂しくて、真っ暗な世界を歩きながら家族の名前を呼ぶ。
「父様！母様！姉様！ラミ！」
どれほど歩いただろう。
不安に押し潰されそうになった時、遠くに3人いるのが見えた。
父と母と妹だった。
「父様ァ！！母様ァ！！ラミィ！！」
叫ぶけれど3人は振り返ってくれない。
それどころかどんどん遠くに行ってしまう。
待ってくれ。
俺はここにいる。
置いていかないで。
そう叫ぶが3人は振り返ることなく行ってしまった。
「ッ…！ぁ……そうだ…！姉様……っ！！」
自分にはまだいるじゃないか。
誰よりも頼れる、自慢の大好きな姉が。
「姉様ァ！！姉様……ッ！！ぅあ…姉様、どこにいるんだよォ……ッ！！」
独りぼっちは嫌だ。
早く会いたい。
もう大丈夫だと抱き締めてほしい。
何度呼んでも姉は一向に現れない。
歩くのも限界になってきた。
「姉、様ァ……ッ…」
しゃがみ込んで泣きじゃくる。
涙を乱暴に拭うも止まらないそれは次々と頬を濡らす。
もう自分は一生独りぼっちなのか。
大事な家族ですら、自分を置いてどこかに行ってしまうのか。
どうしよう、と泣いていると微かに声が聞こえた。
『ロー』
聞き間違えるはずがない。
大好きな姉の声だ。
立ち上がって周りを見回す。
「姉様…！どこにいるんだ…！？」
『こっちだよ』
声のした方を向くと最愛の姉が微笑み、両腕を広げている。
そして優しい声で言う。
『おいで、ロー』
「姉様…ッ！！」
迷わずその腕の中へ飛び込んだ。
姉の背中に腕を回すと温かい手が自分の背中と頭を撫でてくれる。
『もう大丈夫だよ、私がいるから』
「こわ、かった…！姉様まで…っ、いなくなったかと思゛った……ッ！」
『不安にさせてごめんね…もう、ローの側を離れないから』
だから泣き止んで、と姉は未だに涙が流れ続けている自分の目元にキスをする。
たったそれだけで涙が止まるのだから姉は凄い。
いつも自分の不安を取り除いてくれる。
『愛してるよ、ロー』
お日様のような温かい笑顔を見た瞬間、真っ暗な世界が眩しい真っ白な世界になった。
.
.
────…今のが夢かと気付いたのは覚醒してから数秒後のことだった。
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エースファン - 最初から拝見してます！とても面白いです。更新頑張ってくださいね、応援してます (2021年10月3日 21時) (
レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
KOMA(プロフ) - 素敵な話です！応援してます！ (2021年10月3日 16時) (レス) @page39 id: 2f9b06972b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - ローぷうちやんがハート海賊団のつなぎきてみたいだつてなかまになりたいじやないかな (2021年9月28日 18時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - ぷうちやんありがとううれしいよつなぎきたいならろーにたのんでみたら (2021年9月28日 18時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - わたしはただローのあねさまとしてして大好きなおとうとローまもりたいだけ (2021年9月17日 17時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2021年9月9日 23時
