71-16年越しの約束を果たして ページ21
「頼む…」
『……』
「何で頷いてくれねェんだよ…、俺は…姉様ともう離れたくねェ…！」
『……姉様も、もうローと離れたくないよ』
「だったら！そう思うんだったら、自分を犠牲にすればいいとか思わないでくれよ…！」
そう言うローの言葉が震えていた。
16年前のあの日がトラウマになっているのだろう。
(……ローが助かるなら自分を犠牲にすることを厭わなかったけど、それでローが悲しむなら、嫌がって止めるなら…考えた方がいいのかな)
『…ロー？』
「もう大事な人を失いたくねェだけなんだ…」
『……ロー、今までごめんね。
ローを守るためならこの命だって捨てられるけど、それは単に姉様のエゴだったみたいね』
これからは自分の命を優先するって約束する。
Aはそう言って泣きそうに顔を歪めている弟の頬を撫でた。
しかしローは信じてなさそうだ。
「……姉様は生きてフレバンスから脱出して一緒に暮らそうって約束を初めから守るつもりなかっただろ」
『えっ…何でそれを…』
「姉様の考えることくらい分かる。
だから、姉様の“約束”は信憑性に欠けるんだ」
『うっ…』
まさかAがあの約束を守る気がなかったと勘付いていたなど思いもしなかった。
どうしたものかと悩んでいるとローが不意に立ち上がる。
机の引き出しから何かを取り出して再びAの隣へ。
手に持っているのは薄い直方体の箱。
それをAに差し出してきた。
「俺は約束を守ったぞ、姉様」
『これは…？』
「開けて見てくれ」
箱の蓋を開け、中に入っている物を見て言葉を失った。
『────私の、羽ペン』
16年前、ローに渡した両親から貰ったAの宝物。
軸にはトラファルガー・Aと彫られているので間違いなくAの物だ。
これを姉様だと思ってお守りにしてくれと渡した記憶はある。
もしまた会えたら返してくれと言った記憶もある。
「……それでこいつが、本来なら姉様が持っているはずの記念コイン」
『！！』
「忘れた、とは言わせねェぞ姉様。
また会えたらお互いの宝物を交換するって約束だったのに、上着のポケットに忍び込ませやがって」
『…それは、』
「あの時死ぬつもりだったから俺に2つ共託したんだろ？
このコインを見つけた時、姉様の考えたことは全部理解した」
.
.
────なァ姉様、あの日俺がどれだけ絶望したか分かるか？
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エースファン - 最初から拝見してます！とても面白いです。更新頑張ってくださいね、応援してます (2021年10月3日 21時) (
レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
KOMA(プロフ) - 素敵な話です！応援してます！ (2021年10月3日 16時) (レス) @page39 id: 2f9b06972b (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - ローぷうちやんがハート海賊団のつなぎきてみたいだつてなかまになりたいじやないかな (2021年9月28日 18時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - ぷうちやんありがとううれしいよつなぎきたいならろーにたのんでみたら (2021年9月28日 18時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - わたしはただローのあねさまとしてして大好きなおとうとローまもりたいだけ (2021年9月17日 17時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瀧 | 作成日時：2021年9月9日 23時
