もしも生まれ変われるのなら、私は【Fischer’s】

無縁 ページ40

30分ちょいでAさんは出てきた。んだけど……。



「Aさん？」



何故か彼女はリビングに入ってこない。顔だけ覗かせてる感じ。恥ずかしくて入ってこれないんだろうけど、可愛すぎるって事に気付いてない。おいで、と手招きするとゆっくりとリビングに入ってきた。


か、可愛い……。Aさんは緩めのTシャツにハーフパンツ姿、そして髪を下ろしてる。多分いつもお風呂上がりはこういう格好なのかな。初めて見るAさんの姿に思わず凝視しちゃった。だって普段髪結んでる人が髪下ろしてるとグッとこない？？


Aさんはどんな格好とか髪型でも可愛いなー。髪長いから三つ編みしてみたい。やらせてって言ったらやらせてくれそうだからまた頼んでみよ。



［そんなに見ないで……］
［ごめんね。可愛くてつい］



お風呂上がりだからか元々ほんのりと赤かった頬がもっと赤くなっちゃった。Aさんに伸ばしかけた手をギリギリで止めた。危ない危ない、今抱き締めたら何するか分からなかった。



［俺も入ってくるね］
［いってらっしゃい］



寝る時までは我慢しなきゃな。お風呂上がったら何しようか。俺はいつもゲームやってるけど、Aさんってゲームやった事あんのかな。


お風呂に入ってる間も俺はずっとAさんの事を考えていた。



…



［お待たせ］
［ううん、全然］



ペンタブで何か描いていたAさんはきなこに知らされて顔を上げた。ちらりとペンタブを見ると描いていたのはマリオだった。何かを見ながら描いたんじゃなさそうだけど、めちゃくちゃ似てた。


何も見ないで描けるって事はマリオのゲームとかした事あんのかな？そう聞いてみたけどゲーム自体あまりやってこなかったそう。ずっと無縁だったんだって。



［私一人っ子だし、一緒にゲームやる友達もいなかったし……］
［じゃあ俺とやってみる？］
［うん、やってみたい！］



そんな訳でゲームをやる事になった。Aさんにやってみたいゲームを選んでもらって、彼女が選んだのはマリオカート。まあいきなりスマブラとかやるよりは操作も簡単だし、いいかも。


Switchのマリオカートが発売された頃はよくCMでやってたし、どういうゲームかはAさんも知ってるみたい。


必要な操作を教えて、とりあえず簡単なステージからスタート。



「……うーん」



Aさんが本当に今までゲームに無縁だったという事はよく分かった。じゃなかったら何度も逆走したりしないと思う。

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