もしも生まれ変われるのなら、私は【Fischer’s】

写真 ページ15

《ねぇAさん、一緒に写真撮ろ》



顔を隠してたスケッチブックを借りてそう書けばAさんは首を傾げた。何で？と言いたげな顔。Aさんは考えてる事が顔に出やすいから何を思ってるのかすぐ分かるようになった。今絶対何で？って思ってるでしょ。


Aさんから貰った絵はいっぱいあるけどAさんの写真、2人で写った写真はまだない。だから撮りたい。ただそれだけ。



《ダメ？》
《いいけど……》



やった。許可を得た俺は早速スマホのカメラのアプリを開いた。インカメラで俺とAさんが映るように腕を伸ばす。対面に座ってるから隣に座って撮るよりかは楽に撮れた。


でもいつか隣に座って撮りたいなぁ。撮らせてくれるかなぁ。でもAさんの事だから、隣だと恥ずかしがって中々撮らせてくれないかも。


そんな事を想像しながら撮れた写真をAさんに見せた。



《こんな感じに撮れたよ》
《ありがとう。LINEで送ってくれる？》



いいよ、と手話で返してスマホを操作して今撮った写真をAさんに送った。


俺はできる限り手話でAさんと会話してる。俺ができる手話は前より増えたとは言え、まだAさんには全然及ばない。Aさんには筆談と手話が混ざってる状態で会話してもらってる。


だから手話だけで会話できるように頑張らないと。会話ってなると難しいんだよなぁ。努力あるのみなのは分かってるけど、早くAさんと手話で会話できるようになりたい。Aさんの負担を少しでもなくせるように。



［どうしたの？］



Aさんが手話でそう伝えてきてハッと我に返った。心配そうな顔で俺を見ているAさん。



［何でもないよ］



大丈夫、と伝えた。でも心配してくれたのは嬉しい。


俺が送った写真を見てるのか、ニコニコと嬉しそうに笑ってスマホを眺めてるAさんを見るだけで悩みとかそういうの全部吹き飛んだ気がした。


本当に、可愛い人。こんなに可愛い人と出逢えて俺は幸せだとつくづく思う。Aさんと出逢った日公園に行った俺に公園に行ってくれてありがとうって伝えたいくらい。

美味→←動画

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す