モモジャン ページ25
初めてあの子たちを見た時、なんて綺麗な娘たちなんだろう。って思った。
穢れなんて知らない、一滴の曇りもない澄んだ瞳。
傷付くことなんか知らない、綺麗な肌。
絶望なんか知らない、優しい性格。
────── 嗚呼、羨ましいなあ
きっと、信じて疑わないんだろうな。
努力は必ず報われると。
頑張りさえすれば、夢は叶うと。
素敵な、アイドルになれるって。
『アンタたちはアイドルになれない』
そういうとあの娘たちは目を見開いた。
「信じられない」そんな瞳で私を見つめてくる。
…まあ、それはそうでしょうね。
貴方たちが憧れた優しいAは、居ないんですもの。
「Aちゃん…?」
「何言ってるの…?私たちは、アイドルになれない…?」
みのりが大きな瞳に涙をためる。
雫が綺麗な声を震わせる。
「Aさん…?どうして…?」
中でも一番私を慕っていた桐谷遥は、酷くショックを受けた顔をしていた。
「ねえ…だって、Aさんは私に夢を、アイドルになるっていう想いをくれて…。ねえ、聞き間違いだよね?Aさんはそんなこと言わないよね?」
ねえ、AさんAさんとみっともなく縋ってくる遥の手を振り払った。
別に大した力も込めていないが、普通の女の子より微かに分厚い手は簡単に振り払えた。
それに遥は呆然と立ち尽くす。
気の抜けた表情で私たちの今までの騒動を見つめていた愛莉は、今の一件でハッとしたように私に掴みかかって来た。
「アンタねぇ…っ!」
『しつこい。それが言いたかっただけ。最後にもう一度』
4人の顔を順に見つめて言う。
『こんな仕事、さっさとやめてしまいなさい。…純粋な心を持っていたら、アンタたちは決してアイドルにはなれない』
それだけ言って歩き出す。
私の名前を呼びながら泣き喚く遥の声が聞こえたが、私はもう振り返ることは無かった。
後悔なんてしてない。
正論は要らない。
説教なんて求めてない。
憐れむ瞳なんて浅い。
純情を捨てた汚い
わからなかった方の為の解説
枕営業をして有名になったアイドルが自分に憧れる遥たちに辞めた方がいいっていう話。
純情だけではアイドルになれないから。
いつしか希望は絶望になるから。
そんな苦々しい想いをした夢主ちゃんはモモジャンに同じ想いをして欲しくなかったんですね。
とある曲を聞いて衝動書きした。
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勝利 - 今全て読み終わりました!色々な伏線回収がとても素晴らしいです!私もくるみっこ。さんを見習いたいと思います!リクエストです!司くんお願いします!なんでもいいです!お願いします! (2023年1月13日 10時) (レス) @page1 id: 018238cf3e (このIDを非表示/違反報告)
kono(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!!何度も読み返すぐらい好きなので嬉しいです泣 (2022年10月24日 21時) (レス) id: bdec48ea42 (このIDを非表示/違反報告)
噂のキャンディー(プロフ) - り、リクエスト良いですか…?まふゆ様で洗脳と司(闇堕ち状態)が依存してるニーゴミクみたいな性格の夢主!お願いします! (2022年7月27日 22時) (レス) @page29 id: 97930f92c9 (このIDを非表示/違反報告)
スィー - 初コメ失礼します。何度読んでも『殺愛』が好きすぎる……。生きる活力をありがとうございます(o^^o) (2022年1月14日 19時) (レス) @page8 id: b22312ce74 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのp - やっぱり何回読んでも面白いなぁ (2021年12月13日 1時) (レス) id: c70a7d67d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くるみっこ。 | 作成日時:2021年10月22日 19時