【短編集】あいとは。【prsk】

望月穂波・敬愛 ページ6

私は中学校に入ってから、人生がつまらなくなった。

スクールカースト上位の女の子から仲間外れにされて、無視されて。
段々それが広まっていって、みんなの世界から私は消えた。



でも、Aちゃんは違った。

『私はA！穂波ちゃん、仲良くしようね』
Aちゃんは私を見てくれた。

話しかけてくれた。それがどうしようもなく嬉しかった。
モノクロの世界に、色がついた。

それは透明な水に垂らした絵の具のように広がって、Aちゃんで染め上げた。



その日から私はずっと、Aちゃんが好き。

依存、だと思う。

可愛くて人気者なAちゃん。


でもAちゃんは何よりも私を気にかけてくれた。
誰よりも一緒にいてくれた。

Aちゃんも私が一番なんだ。Aちゃんの世界にも私しかいないんだ。
…そう、思ってた。



｢Aちゃーん…あれ、寝てる｣
放課後、Aちゃんは机の上で眠っていた。


｢ふふ、可愛いなぁ…。あれ？虫刺され？｣

Aちゃんの綺麗な項に跡があった。
初めは虫刺されだと思った。
けどよく見るとそれは接吻跡だと気がついた。



誰が、つけたの？
私、Aちゃんに恋人がいるなんて聞いてない。
私はAちゃんに隠し事なんてしたことなかったのに。
どうして？私が1番じゃないの？


『とーや、くん…』


Aちゃんの心の中には、私じゃない誰かが住んでいた。


どうしようもないほど、悔しかった。悲しかった。


Aちゃんの反対側の項に噛み付く。
初めてであんまり上手く出来なかったけど、数回苦戦して何とかつけることが出来た。

これを見て、Aちゃんはどう思うかな。
これで彼氏さんと別れたらいいな。



最後に、Aちゃんの唇に自分のものをそっと重ねた。

東雲絵名・羨み愛→←草薙寧々・憎み愛

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