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治くんも、塩っぱさがおさまらん。 ページ47




新幹線で兵庫まで帰ってきて、今は駅からの帰り道を、いつも通り治くんと二人で歩いている。

治くんはどうしても小腹が空いたらしく、
途中で指輪型のスナック菓子…いわゆるポテコを買っていた。

そしてそれを二人で食べながら帰る。

すると、私の家の前に着いたところで、
治くんが「ちょっと聞いて欲しいことがあんねん」と、話しかけてきた。

私は、そんな治くんの真剣な表情に、思わず敬語で『は、はい』と返事をしてしまった。





「俺らが2年の時のIH前にした話覚えとる?」


『“なぁ、もし優勝したら、
なんかご褒美くれへん?”って奴やろ?

.......その約束、勿論やけど今も有効やで?』



「そーか、なら良かった。

やったらさ____」






治くんは、何故か話の途中で、手に持っていたポテコの袋の中から、ひとつ取り出した。

そして__私の前に膝まづいた。


はは、こんなん一年の頃もあったなぁ。

【「I propose to Nisina!!!!」】って英語の授業中に、急に膝まづいて言っとったなぁ。

なんて、少し昔の事も思い出した。


それくらい、過去のその行動と重なるのだ。

しかも手にはお菓子とはいえ、指輪。

こんなん期待せん方がおかしいやろ.......?







「そのご褒美として____


Aのこれから先の時間を、

一生分の笑顔を、


俺にくれへん____?」






そう言って、私の左手の薬指に、
お菓子の指輪をはめる治くん。

はは、その恥ずかしそうにしながらも、どこか自信ありそうな顔.......

もう答えなんてとっくの昔に知っとるやろ?






『ええに決まっとるやん.......っ。

その代わり、あんたの夢を追いかける姿を一番近くで見られる特等席を____

一生私にくれへん____?』



「当たり前や.......っ!!」





治くんの顔は気づけば涙でぐっちゃぐちゃやった。

こんな時くらい、かっこええ顔で決めてや.......と、叶うはずのない願望は少しあったけど、

そんなものより、今、この幸せを噛み締めたい。

気づけば私の頬にも涙が伝っていた。


そして、自然と私達の距離は縮まり、
そっと互いの唇が触れ合った。





「『塩っぱ』」





そんな私たちの声が重なって、二人して思わず吹き出した。


感じた塩っぱさは、

食べていたポテコのせいか、

はたまた互いの頬に流れる涙のせいか__


それは分からんけど、これが私の人生一の幸せな味や。



治くんも、塩っぱさがおさまらん___


治くんも、幸せがおさまらん。→←治くんは、温かさがおさまらん。



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アニメラブ - 続編みたいです!! (2022年10月28日 15時) (レス) @page50 id: 224878efa2 (このIDを非表示/違反報告)
ナッツ - 続編みたいです!お願いします! (2022年2月26日 0時) (レス) @page50 id: ad6bc992f8 (このIDを非表示/違反報告)
える - 続編待ってます! (2021年8月14日 10時) (レス) id: dae120511d (このIDを非表示/違反報告)
かすたぁど - 続編みたいです!待ってます!! (2021年8月5日 10時) (レス) id: f00f6ed815 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - 好き (2021年4月19日 2時) (レス) id: 5c13cd4981 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかかのおにぎり | 作成日時:2020年2月24日 23時

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