治くんは、おさまらん。 (ページ35)

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治くんは、気の早さがおさまらん。ページ35

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その後、治くん達がギャーギャーと騒いでいるのを眺めていると、

後ろから、「お前ら、そろそろ朝練始めんで」と、声がかかった。

皆が、ギギギギ.......と効果音がつきそうなくらい、ぎこちなく後ろを向くと、そこにいたのは、何を隠そう、ミスター正論パンチこと北さんやった。

そういえば治くん。北さんが怖いから秘密にしよ、言うてたんやなかった？

そう思い、治くんの方を見ると、めっちゃ顔を青くしていた。

とりあえず北さんに声をかけられたので、全員が集合して、出欠確認をする。

その後、いつもなら北さんの号令で挨拶をするんやけど.......

北さんの号令がいつになっても掛からへん。

なんでや？そう思っとると.......

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「.......治、A。
お前ら付き合ったってほんまか？」

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と、突如北さんが口を開いたかと思うと、私たちに聞いてきた。

私たちは、ギョッとするも、ここで否定をするわけにもいかんので、無言で首を縦に振った。

やばい、私も怖くて緊張してきた.......
なんて言われるんやろか.......？

.......正論パンチを食らう覚悟をしていた私達。

けど予想に反して降ってきたんは、
「そうかぁ、良かったなぁ」と言うなんとも温かい言葉やった。

そっと北さんの顔を見ると、そこには優しくて温かい笑顔があった。

その場にいた全員が、その様子に呆気に取られた。

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「治がずっとAの事を好いとったんも、そんでAに振り向いてもらう為にめっちゃ健気に頑張っとったんも.......全部見とったから知っとんで。

そんな治のことを、Aも素直になれんだけで、好いてて大切にしとるんも、知っとる。

やから.......そんな二人が付き合ったって聞いて、自分のことのように嬉しいんや。

ほんま、おめでとうな。」

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.......誰がこの展開を予想したやろか。

私は涙こそは出んもののめっちゃ感極まってる。

そして治くんは、涙をダバダバに流して、「北さあああん！」と抱きついていた。

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「北さん！！俺、絶対Aと結婚して、

ほんで一生幸せにします！！」

『え、ちょっ！？』

「...？まだ歳的に無理やろ？気が早いわ。

まずは朝練。ほんで、春高やろ。」

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.......正論パンチは今日も健在でした。

そんで、抱きついていた治くんをベリッと引き剥がした北さんは、「朝練始めんでー」と、何事も無かったかのように、号令をかけていた。

治くんは、気の早さがおさまらん＿＿＿＿＿

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