治くんは、おさまらん。 (ページ28)

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治くんは、感謝の思いがおさまらん。ページ28

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『ったぁ！』

「.......Aっ！なんで！！

なんで、

そんなに強いんや！？」

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.......状況を説明すると、

治くんの方に先生がナイフを向けて走りだそうとした。

なのでそれを逆手にとって、私が先生に足をかけた。

そして、それで先生が転んだ隙に、
思いっきしナイフを持ってた腕を踏みつけて、ナイフを遠くに蹴った。

やから、冒頭の『ったぁ！』は、腕を踏み付けた時の気合い(？)の声やねん。

そんでまぁ、その後は皆に取り押さえてもらって、
尾白さんが呼びに行ってくれてたらしく、他の先生と警備員さんが来たので、

状況を説明して、角名くんが証拠写真も撮っておいてくれたのもあり、最後には先生は連れていかれた。

そんで、今、治くんに仰天の目で見つめられて、問い質されている。

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『あー、実はお父さんが過保護でな。

やから、護身術？って奴を教えて貰っとってん。

最初っからそうやれれば良かってんけど、
どうにも怖くて.......

でも、治くんが私の為に身を呈して頑張ってくれたんを見て、私も勇気ださななって。

.......ほんまに、ありがとうな。』

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私は、感謝の気持ちとともに、

治くんの質問に答えた。

何事にも真っ直ぐな治くんは、

ほんまに、危なっかしいけど、

それと同時にめっちゃかっこよくて、

キラキラと輝いとって、

誰かに勇気を与えるんや。

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「.......おん。

こっちやって、めっちゃ情けないんやけど、、、

勇気出して守ってくれて、ありがとうなっ.......。

あとさっきは俺を呼んでくれて、頼ってくれて、

嬉しかった。ありがとうっ.......。

そんで何より、、、

ほんまに、ほんまに、

無事でいてくれて、ありがとうっ。。。」

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治くんは、私を強く抱きしめて、

その綺麗な瞳から、涙を流して、
消え入りそうで、でも確かな声で私にそう言った。

私も、気づけばそんな治くんにつられて泣いていて、

もうこの優しい温もりから離れたくない、と、治くんの背中に手を回して、
そっと、なんかじゃ、足りんくて。

今日だけは、と。強く強く抱き締めた。

ほんまに感謝せなあかんのは私やのに、

治くんはずっと私の肩に額を填めて、
「ありがとう、ありがとうなぁ」と、

感謝の言葉を繰り返し続けた。

それに続いて私も、『ありがとう』と笑顔で、小さく、けれど治くんに確かに届くように何度も言った。

治くんは、感謝の思いがおさまらん＿＿＿

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