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なのに、君は。
自分なんかは傑の隣にいるには相応しくなかったんだ、だから自分なんかが死んでも悲しむことなんかない、むしろそっちの方が傑は幸せになれる、とでも言いたげで。
それがどうしても許せなかった。どうして私がそう易々と君を死なせてやると思っているのだろうか?君は私を見くびりすぎてはいないか?
嗚呼、気持ちが伝わらないというのはこんなにも歯痒いものなのか。


「いつもは恥ずかしくて情けなくて…こんなこと言えないけど、君がそんな馬鹿みたいなことを言うから私も馬鹿みたいなことを言うよ、よく聞いてね。
私は君がいないとダメなんだ、君がいないと笑えないんだ。君がいない世界で生きるくらいなら…死んだ方がマシなんだ。それくらい…君が大切なんだ、君を愛しているんだ、君に───」


───ずっと笑って生きていて欲しいんだ。


私がそう言った瞬間だった。
突然君は今までのか細い声が嘘みたいにわんわんと大きな声を上げて泣き出した。しまいにはめちゃくちゃに力強く私を抱きしめてくるもんだから、私は動揺が隠せなかった。
…いや、え、死にかけてたよね?君。


「ごべんね、ずぐる…!全部嘘なの…!!
ただ…死んだフリしてただけなのーーーー!!」


「…………いや、なんて???」

「ごべんね、ずぐる…!全」

「そういう意味で“なんて”って言ったんじゃないから…!!いや、えぇ…?とりあえずなんでそんなことになったのか説明して…?」


…全く。喜ぶべきなのか怒るべきなのか、分からないよ。にしてもどうして一体こんなことを…?


「私本当は…ずっと不安だったの。それで君の本心を知りたくて…。
高専三年のあの日、私が傑を自分のワガママで止めたせいで…傑の本当の自由も生きる意味も幸せも奪っちゃったんじゃないかって思ってた。
…でも、違った。全然そんなこと無かったって思い知った。いや、多分元からどこかで分かってたんだと思う、私。分かってたけど、君を信じる勇気が足りなかった。…ごめんね。」


…知らなかった。いつも笑顔の君がこんなに追い詰められていたなんて。
ここまでAが追い詰められてしまう前に、もっと言葉にすればよかった。自分の想いの異常な重さがバレたくなくて、自分の想いを簡単に言えなかったんだ。
でもこれからは、少しずつでいいから口にしていくよ。


「私こそ不安にさせて、ごめんね。
“いつも傍に居てくれてありがとう”」


手始めに…“ありがとう”から。


フ→←ん



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ような - Happy birthday!!! (2022年2月3日 23時) (レス) id: 663ab8d7b2 (このIDを非表示/違反報告)
aaa - 夏油様ハピバ!!ホントにこういう世界が現実だったらいいのに... (; ;) (2022年2月3日 19時) (レス) @page3 id: 94f6373e66 (このIDを非表示/違反報告)
るきー流季ー - こ、こんなにも短編で終わり方が素敵な物語ってこれ以外にありませんよ!?あと誕生日おめでとうございます、夏油様〜!!どうか、どうか、呪術廻戦最後では羂索から解放されてハッピーエンドを迎えてほしいっす・・・ (2022年2月3日 15時) (レス) @page6 id: d8f15dd322 (このIDを非表示/違反報告)
みたらし(元三日月) - 最高すぎます! (2022年2月3日 13時) (レス) @page5 id: 122f030fb9 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うわ〜〜!最高でした!!お誕生日おめでとう傑☺️💕 (2022年2月3日 13時) (レス) id: c9636ac8db (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかかのおにぎり | 作成日時:2022年2月3日 0時

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