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そうあの日、君は私に洗脳の術式をかけた。
確かにそれから一ヶ月ほどは君の術式にかかったままで、非術師への憎しみ、そして彼らへの殺意の一切をキレイさっぱり忘れていた。


しかし、一ヶ月ほど経った頃──彼女が特級レベルの任務で呪力がカラカラになるまでの死闘を繰り広げたと聞いた日───私は全てを思い出した。

ああそうだ、私をここまで狂わせたのは…非術師への憎しみは勿論のこと、仲間を失うことへの恐怖、悟への劣等感、そして…悟ばかりで一向に自分に見向きもしないAへの歪んだ恋心だった。


あの瞬間、本当は地獄へと落ちていくのを止めて欲しかったから目の前の君に助けを求めたのに、君はその場にいもしない…最強の道へ向かい誰の助けも求めていない悟へその手を差し伸べた。

その瞬間の私の惨めさと言ったら…君は分かるか?いや、分かるわけがないだろうな。必死すぎて自分が何を言ったかすらマトモに覚えていないのだろうから。







そして私はAの術が解けるや否や彼女の元へ会いに行った。

緊迫した場面だったとはいえ仮にも仲間である私に術式をかけ一時的とはいえ洗脳した君にどんな酷い言葉を投げかけてやろうか、あんな場面でも自分より悟のことを考えていた君にどんな酷い仕打ちをしてやろうか、そんな事をぐちゃぐちゃの感情の中で考えていた。
しかしいざ、彼女のいる高専の医務室へと入ってみれば、そんな考えは一瞬にして消えてしまった。

彼女は呪霊との死闘で全身ボロボロになっていた。そんな彼女を見て私はひたすらに彼女を心配した、そして彼女がこんな怪我でも生きていることに世界が救われたかの如く安堵した。
私はそんな私を今世紀最大の大馬鹿者だと嗤った。

だってそうだろう?
私は地獄へと堕ちていく私の心を見切って悟を優先したAの事が心底憎かった。…はずなのに、いざ一度彼女の姿を目に入れてしまえば、私の心は一瞬にして彼女の虜になって…彼女を愛すべき存在としか認識出来なくなる。


…でも、どれだけ私がAを想おうが、やっぱり彼女が好きなのは悟だった。
悟が見舞いに来るや否や、私の時とは段違いに華のような笑みを咲かせたのだ。


結局私は悟に適うわけが無いないのだ。

なぁ悟、君はなんだって欲しいものを手に入れてきただろう?独り占めしてきただろう?最強の座だってそうさ。
なら、なら、想い人くらい、Aくらい、くれたっていいじゃあないか。



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オリキャラ依存性 - うっ…優也君、まともに死体処理もされなかったのね…。悲しすぎる(´TωT`) (2022年4月4日 18時) (レス) @page12 id: 5bf7d29b43 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます!更新頑張らせていただきます♡ (2022年1月16日 23時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 今後の展開がスッゴく気になります!次の更新楽しみにしてます。 (2022年1月12日 17時) (レス) id: e1c3de8007 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - 夜風@常に眠いさん» よーかちゃんんん!私も好きすぎてげろりんちょです!(?)あなたの更新、私も応援してます!! (2022年1月4日 13時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)
おかかのおにぎり(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます!理想通りの夏油様や彼が抱えているであろう苦悩の表現を意識していたので、嬉しいです!更新頑張ります! (2022年1月4日 13時) (レス) id: bb984743a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おかかのおにぎり | 作成日時:2021年12月31日 17時

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