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『…よし分かりました。じゃあ私を5億円で貴方に売ります。それで貴方はこの仕事から降りる。そうすれば全て解決ですね。』
「…は??????」
私の言葉に心底理解できないとだらし無くぽかんと口を開ける目の前の男。
…そんなおかしな話ですかね?
お金が無いなら、お金の代わりになるものを差し出せばいい。その差し出すものが私という人間だっただけの話なのに。
実際私に5億の価値があるのかと言われれば、正直な話5億どころではなくそれの何倍かの価値はあると自負している。
そしてそこに大きく関わってくるのは私の術式だ。
『私、こう見えて一級術師推薦の話がほぼ確定しているんなです。なので給料もそれなりに大きな額になるでしょう。
あとは…あまりやりたくは無いですが私の術式を使えば宝くじの当たり番号や競馬の当たり馬だって知ることができます。』
私の術式は“全知”。知ろうと思ったことを何でも知ることが出来る力。未来や過去や相手の心など何でもだ。…しかし今回の件で目の前の男という例外が生じてしまった為、“何でも”という訳ではなくなったが。
「…へぇ?」
でも、この良くも悪くも欲に忠実な男の興味をひくくらいは容易い。…とっかかりは順調だ。ここからもっと相手を口車に載せなければならない。…なんだか新手のセールスマンになった気分だ。
『それに私、手先も器用なので料理や裁縫など家事全般なんでも出来ます。
そして…他者への反転術式も出来ます。』
私の術式を使えば、反転術式の明確なやり方や呪力の核心さえ知ることが出来る。でもまぁいくらやり方を知っても多少のセンスも必要にはなる為、私に家入さんほどの精度は無い。それでも他者への反転術式は重宝されるものだ。
「……ほぉ、」
あと、ひと押しだ。何かないだろうか。
そう思って男を見ると男の視線がじっと私の顔を見つめては少し切なげな表情を浮かべていることがわかった。…もしかして。
『あとあなた────私の顔と誰か重ねてますよね?
表情から察するに愛してる人…いや愛して“いた”人とかですかね?…あら、図星ですか?』
私がそう言った瞬間、確かにぴくりと男の眉が動いた。そして気づけば男に首をガッと掴まれていた。
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やんこち - ぐぁぁぁ…気になりすぎる!!とても素敵な作品をありがとうございます✨続き待ってますっ!! (10月21日 2時) (レス) @page19 id: 53e7ed5961 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - えっとですね!直哉くんなにかに目覚めたらしいのパスワードを教えてください! (2023年3月18日 21時) (レス) @page3 id: aff6f0444c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっと皆の絡みが見たいです(甚爾が呪詛師から東京校の術師側に転職するのもアリかもです) 更新頑張って下さい (2022年1月22日 0時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 案外甚爾がこっそり払っていたんですね私も夢主が払うのだとばかり思ってました 甚爾ごめん 何げに仕事ではちょくちょく高専側から何故か甚爾が駆り出されみたいななんだかんだの関係や絡みがあったら面白いと思うのですがどうでしょうか? (2022年1月22日 0時) (レス) @page19 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - もっとこの家族達の事や難しくても高専や「さ.し.す」組と色々な絡みが見てみたいです 続編楽しみに待ってます (2021年7月29日 19時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかかのおにぎり | 作成日時:2021年4月18日 6時