OVER (yb×hk) ページ22
hk視点
｢…誰の曲？｣
｢なんか高木が送ってきた。
相変わらず女子高生みたいな曲が好きでさ、｣
ほら、と見せられた画面には、今どきの若い女の子が切なそうに歌う顔。
｢えーと、曲名がねぇ、｣
いのちゃんが教えてくれた曲名を検索して、その場でダウンロードした。
音楽って、実際にCDショップに行って、ジャケット写真を見て買うのが当たり前だったのに。
便利な世の中ってのは同時にどこか寂しい。
ジャケ買いなんていつからしてないだろう。
｢さーて、行きますかぁ｣
うーん、と伸びをしたいのちゃんにハッとして自分もバッグを担ぐ。
…毎週土曜日、ラジオが終わったらいつも向かっていたあの街には行かなくなったから。
突然自分と送迎車が一緒になったことに、優しいいのちゃんは何も言わなかった。
ずっとずっと、あいつの隣は俺のもので。
みんなに羨ましがられるその関係が、誇らしくて照れくさかった。
それがあいつの絞り出すような"ごめん"と、
俺の"じゃあな"の一言だけで終わるだなんて誰が想像した？
俺のことなんて、誰よりも一番わかってるんじゃなかったのかよ。
それならさ、やぶ、俺のあの"じゃあな"が、精一杯の強がりだってことくらいわかってるくせに。
｢ひかる、薮の話あんだけど聞く？｣
｢…聞かない｣
｢そう、じゃあいいや。ちょっと電話するね｣
表情ひとつ変えずに耳に当てられたいのちゃんのスマホから、微かに呼び出し音が漏れるほど、発車前の車内は静かだった。
｢もしもし？俺。伊野尾〜｣
ねえ、待って。
｢お前風邪は？へ？知念から聞いた。安心しろよ、ひかるには言ってねぇから｣
待ってよ、いのちゃん。
ちゃんと聞こえないけど、スマホの向こうのその声ってさ。
｢お前もバカだよねぇ。窓開けっ放しで寝たんだって？この季節に？｣
ねえやぶ、なにしてんの。
お前布団蹴飛ばすんだから、そんなことしたら風邪ひくに決まってんだろ。
｢飯は？…あーあ、そりゃ治んねぇよ。若くないんだからさ…お前ほんとひかるいなきゃ何にも出来ねぇのな｣
『うるせぇ。んなことわかってんだよ、…ックシュン、ックショ！！あーうぜぇ…』
｢んなっ、｣
『……今の声、おい、伊野尾てめぇ』
｢あーごっめーん、間違えてスピーカー押しちゃった｣
直後、ブチッと音がして電話が切られた。
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やまたかLOVE - とても面白くて大好きな作品ですっ！更新頑張ってください！ (2020年1月5日 19時) (
レス) id: 6533d85759 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 可愛くて素敵なやぶひか供給ありがとうございます〜。ぜひこれからもお願いしたいです。切実にお待ちしています。 (2019年3月19日 21時) (レス) id: 58687bcc1e (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - １話１話、それぞれのお歌に合った物語の紡がれ方になっていて、読んでいてとてもワクワクしています。おこがましいですが、私からもリクエスト宜しいでしょうか。嵐の相葉くんの『じゃなくて』を題材に、なにか１つ書いていただきたいです。更新待ってます！ (2019年2月1日 17時) (レス) id: dea4eacb95 (このIDを非表示/違反報告)
ららん(プロフ) - はじめまして。ありやまとありちねの見させていただきました！今回も素敵です！もし良ければ続編で有岡くんと山田くんが結ばれるバージョンが見たいです。 (2019年1月25日 16時) (レス) id: 5ecec66850 (このIDを非表示/違反報告)
もか(プロフ) - Shee.さん» Sheeさん本当ですか(震)こちらこそ読ませて頂いてるので震えが止まりません涙こちらこそよろしくお願いします！ (2019年1月25日 7時) (レス) id: dc2f2337d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shee.くじら
x他1人 | 作成日時：2019年1月24日 23時
