9割の気まぐれ【アイアンマン】

あっという間 ページ9

そこからスタークインダストリーズが
てっぺんに登りつめるまで一瞬だった


そして彼女が育つのもあっという間だった


彼女なりに社員との距離を詰める努力をした

今ではペッパー同様この会社には欠かせない存在

社員からの人望も厚い





だがまだ“色”を見せることはできていない




どんなに研究し、改良を重ねても成功しない

その事を申し訳無く思っていても





『私は貴方に拾ってもらっただけ、幸運です』





ともう聞き慣れた敬語で言った



他の研究施設に行ってみる事を進めた時は

まるで苦虫を潰したような顔で





『逃げるんですか、あのトニー・スタークが』





と吐き捨てるように言った



これでも僕は社長であり、保護者だぞ





ト「はぁ、誰に似たんだか....」
『貴方以外に誰がいるんですか』





扉の方に目を向けると
僕と同じようにため息をつく彼女

山のようになった書類を僕の机に置くと

腰に手を添えて呆れたように僕をみる





『私に無駄に仕事を回さないでください。
途中に社長のサインがいるものもありましたよ？』

ト「おっと僕としたことが
今度はしっかり回すよ」





微笑みながら言うと、頭を抱えながら
もう一度ため息をついた

どんなに仕事を回してもどんなに愚痴を言っても



彼女の仕事はいつも完璧だ


もちろん、これも僕の教育の賜物


元々吸収がよかったものあるが


教えれば教えただけできるようになる

まるでスポンジだな



そのおかげで僕と同じくらいのIQはある


それを惜しみなく会社に使うもんだから

教えた甲斐がある



といっても、



たまには自分のために使って欲しい



そう思っていると





『貴方が“色”を教えてくれるまで

恩を売っているだけです』





と言うもんだから言い返せない








この僕を言いくるめる女はペッパーと彼女くらいだ

まだまだ子供→←なまえ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す