9割の気まぐれ【アイアンマン】

なまえ ページ8

トニーside



それから数日が過ぎた


何の問題もない日々






だが僕は重要な事を見落としていた





それが発覚したのはペッパーの一言



ぺ「そういえばこの子の名前ってなんなの？」



そう、僕としたことが

名前を付けていなかったのだ


元々名前があるんじゃないかと本人に聞いたところ




『なまえ...?』




と首を傾げるばかり



そこからが問題だ



名前を付けるなんていう

父親のようなことはしたことがない



ペッパーに意見を求めても



ぺ「こういうのは自分で考えるべきよ」



と言われた

僕のことだ、すぐに思いつく

そんな事を思っていたが


一向にその兆しがない


しまいには本人に




『無理にはつけなくていい』



と言われてしまった



最近お気に入りのドーナツを食べている本人を

見ながら考える


僕はこんなにも思い悩んだことがあっただろうか


若干呆れながら




ト「うまいか？」




と聞くと最初の頃からは

想像出来ないほどの笑顔で頷く

そんなキラキラした顔をしていると


こちらまで気分が良くなってくる







その時だった







出会った時と同じように気がついたら

口に出していた









ト「ミナ」









僕が独り言のように呟くと


ガバッとものすごい勢いでこちらを向く


先程まで夢中だったドーナツを置き

トコトコと歩いてくる





『私の名前？』




その純粋な瞳に「あ、あぁ...」と答えると




『っ‼』




ドーナツを食べている時より

キラキラと瞳を輝かせる




『あ、ありがとう‼』

ト「だがこの名前は思いつきで....」





そこで言葉が止まったのは


慣れたとはいえ感情は

最低限表に出さなかった子が



飛んで喜んでいたからだ



何度も自分の名前を言いながら走り回っていた



その間、ペッパーも入ってきて驚いていた

名前を付けたら喜んだ、と伝えると

飛び跳ねているミナを見て



「そう...」と微笑んでいた




居場所も名前もつけた





あとは、約束通り“色”を見せるだけ





無意識に上がった口元に気づき








こんなに楽しみなのは久しぶりだ、と







頰を緩ませた

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